退職届の日付は提出日?退職日?2つの日付の書き分け
退職届を書き始めて最初に手が止まるのが、右上の日付です。「ここは今日の日付? それとも辞める日?」。両方の日付が文中に出てくるので、混乱するのも無理はありません。
答えを先に書きます。退職届には日付が2か所出てきます。それぞれ役割が違います。
この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。会社独自の様式がある場合はそれに従ってください。個別の判断は弁護士や社会保険労務士など専門家にご確認ください。
日付は2か所ある
| 位置 | 何の日付か | 書き方 |
|---|---|---|
| 右上(表題の上) | 提出日 | 会社に出す日(郵送なら投函日または作成日) |
| 本文の中 | 退職日 | 雇用契約が終わる日 |
一般的な退職届の文面は、次のような形になります。
(右上に提出日)
退職届
このたび、一身上の都合により、○年○月○日をもって退職いたします。
(所属・氏名) (宛名)
右上が提出日、本文中の「○年○月○日をもって」が退職日。この対応関係を覚えてしまえば、以後迷いません。
なぜ提出日が要るのか
提出日は、単なる形式ではありません。いつ意思表示をしたかの記録になります。
民法97条1項はこう定めています。
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
そして627条1項は、期間の定めのない雇用について次のように定めます。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
「解約の申入れの日から」2週間を数えるわけですから、申入れの日がいつだったかは、あとから効いてきます。日付を空欄のまま出したり、書かずに置いてきたりすると、その起点が曖昧になります。
数え方は同法140条(初日不算入)と141条(末日の終了で満了)によります。実際に何月何日になるかは 退職日の逆算カレンダー が計算します。詳しい数え方は 退職を申し出てから何日で辞められる? にまとめました。
郵送する場合の日付
手渡しなら「提出日=渡した日」で迷いません。郵送の場合は少し考える必要があります。
- 右上に書くのは、作成日または投函日とするのが一般的です。
- ただし、効力が生じるのは到達した日(民法97条1項)です。書いた日付と、実際に効力が生じる日はずれます。
- 投函から到達までの日数を見込んで、退職日には余裕を持たせるのが安全です。
つまり、「2週間ぎりぎりの退職日を書いて郵送する」のは、いちばんずれやすいパターンです。数日の余裕を見ておいてください。
郵送の体裁は 退職届を郵送で出す時の送り方と添え状、届いたことを記録に残したい場合は 内容証明で退職届を送る手順 をご覧ください。
退職日はどう決めるか
本文に書く退職日は、次の順で決めるのが実務的です。
- 転職先の入社日があるなら、その前日を候補にする。 空白期間を作らない形です(在職中の転職と退職のタイミング)。
- 月末に着地するか確認する。 社会保険料の扱いが変わります(月末退職と月初退職はどちらが得か)。
- 有給の残日数を入れて、最終出社日を出す。 退職日と最終出社日は別に立ちます(退職代行で有給消化はできる?)。
- 就業規則の予告期間を確認する。 「1か月前まで」といった条項があると、2週間で数えた日付とずれます(就業規則に「1か月前」とある時)。
これらの日付を並べて出せるのが 退職日の逆算カレンダー です。民法627条の2週間で数えた日付と、就業規則の予告日数で数えた日付を、判断を加えずに並べて表示します。
元号と西暦、どちらで書くか
どちらでもかまいません。 会社の書式に合わせるのが無難です。ただし、書類の中で統一することだけは意識してください。右上が西暦で本文が元号、といった混在は避けます。
退職届の作成ツール は、提出日と退職日をそれぞれ入力する形になっているので、書き分けを間違えにくくなっています。会社名・代表者名・所属・氏名を入れると標準文面ができ、印刷・PDF保存・テキストのコピーまでその場で完了します。無料・登録不要で、入力内容はブラウザ内だけで処理され、サーバーには送信されません。
日付をめぐって起きやすいこと
| 起きること | 背景 | 備え |
|---|---|---|
| 「この日付では困る」と言われる | 就業規則の予告期間・引き継ぎ | 2つの日付を持って話す |
| 提出日を書き換えてほしいと言われる | 社内の処理都合 | 応じる前に理由を確認 |
| 受け取ってもらえず日付が宙に浮く | 引き止め | 到達を記録に残す形で送る |
| 退職日を先に延ばされる | 人員繰り | 交渉できる相手を用意する |
最後の行が、運営元タイプの選択に直結します。退職日の調整は「交渉」なので、民間企業タイプでは扱えません。 労働組合(労働組合法6条の交渉権限)または弁護士の領域です。詳しくは 運営元タイプの違い・団体交渉権で何ができるのか・退職日は自分で指定できる? をご覧ください。
まとめ
- 退職届の日付は2か所。右上=提出日、本文中=退職日
- 提出日はいつ意思表示をしたかの記録。民法627条1項は「解約の申入れの日から」2週間を数える
- 効力が生じるのは到達した日(97条1項)。郵送なら書いた日付とずれるので、退職日に余裕を持たせる
- 退職日は、入社日・月末・有給・就業規則の順で詰めると決めやすい
- 元号でも西暦でもよいが、書類の中で統一する
日付の役割さえ分かれば、退職届はほとんど埋まります。あとは、その日付を会社と共有できる形にするだけです。
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