内容証明で退職届を送る手順|日本郵便の公式情報で確認
「退職届を出したのに、受け取っていないと言われそう」「あとで"聞いていない"と言われるのが怖い」。こうした不安がある時に検討されるのが、内容証明です。
ただ、内容証明はどんな場面でも使うべきものではありません。何を証明する仕組みなのか、手順はどうなっているのか、そして使うべき場面はどこか。
この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。料金や取扱いは変更されることがあります。最新の情報は日本郵便の公式ページで、法的な判断は弁護士など専門家にご確認ください。
内容証明が証明するのは「内容」と「差出」
日本郵便の内容証明で確認しました。
一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。
読み取れることは重要です。証明されるのは、①いつ ②どんな内容の文書を ③誰から誰あてに差し出したか。この3点です。
証明されないこともはっきりします。
- 書いてある内容が正しいことは証明されません
- 相手が納得したことも証明されません
- 内容証明そのものに、相手を従わせる力はありません
つまり内容証明は、「この文面を、この日に、この宛先へ出した」という記録を第三者が残してくれる仕組みです。退職の場面では、民法97条1項の到達をめぐる不安に対する備えとして機能します。
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
手順
同じ公式ページの記載にもとづくと、窓口での差出は次の形になります。
- 内容文書(相手に送る文書そのもの)を用意する。
- 謄本を2通用意する。 内容文書と同じものです。
- 封筒を用意する。 差出人・受取人の住所氏名を記載します。
- 郵便窓口へ持参し、料金を支払う。
公式ページには、書式について次のように記載されています。
用紙の大きさ、記載用具を問いませんから、市販の内容証明用紙以外の用紙を用いても、また、コピーにより作成してもかまいません。ただし、謄本には字数・行数の制限があります。
専用用紙でなくてよく、パソコンで作って印刷したものでもかまいません。 ただし字数・行数の制限があるため、レイアウトは公式ページの案内を必ず確認してください。
また、次の点も明記されています。
一般書留とする必要があります。
では、あとから確認できる期間はどうでしょうか。
差出人は、差し出した日から5年以内に限り、差出郵便局に保存されている謄本の閲覧を請求することができます。
5年間、差出郵便局に謄本が保存される。これが「記録が残る」ことの中身です。
なお、インターネットから差し出す方法も案内されています。
電子内容証明サービス(e内容証明)では、インターネットで24時間受付を行っています。
料金については、公式ページに「内容証明の加算料金は480円(2枚目以降は290円増)」と記載されています(この記事の更新日時点。一般書留の料金や郵便料金は別に必要で、金額は変更されることがあるため、差し出す前に公式ページでご確認ください)。
何を書くか
退職の意思を伝える文面に、盛り込む項目は多くありません。
- 表題(退職届、または退職の意思表示についての通知)
- 差出日
- 宛名(会社名・代表者名)
- 差出人(所属・氏名・住所)
- 退職する旨と、退職日
- 今後の連絡先・書類の送付先
書けば書くほど良いわけではありません。 事情の説明や不満を長く書くと、争点が増えます。事実と日付だけを簡潔に。これが基本です。
文面のベースは 退職届の作成ツール で作れます。会社名・代表者名・所属・氏名・提出日・退職日を入力すると標準文面ができ、テキストのコピーもできるので、内容証明用の体裁に整え直す下地として使えます。無料・登録不要で、入力内容はブラウザ内だけで処理され、サーバーには送信されません。日付の書き分けは 退職届の日付は提出日?退職日? にまとめました。退職日の決め方は 退職日の逆算カレンダー をご覧ください。
使うべき場面・使わなくてよい場面
| 場面 | 内容証明の要否 |
|---|---|
| 会社が退職届を受け取らない | 検討する価値がある |
| 「聞いていない」と言われそうな相手 | 検討する価値がある |
| すでに退職日をめぐって争いになっている | 検討する価値がある(同時に専門家へ相談) |
| 円満に話が進んでいる | 不要なことが多い |
| 上司と話せていて、書類の様式も案内された | 不要 |
円満に進んでいる場面で内容証明を送ると、身構えさせるだけになりかねません。 相手の態度を硬化させることが目的ではないので、「受け取ってもらえない」「言った言わないになりそう」という具体的な懸念があるかどうかで判断してください。
受け取り拒否そのものへの対応は 退職届を受け取ってもらえない時 にあります。通常の郵送で足りる場合は 退職届を郵送で出す時の送り方と添え状 をご覧ください。
内容証明だけでは片づかないこと
内容証明は意思表示を届けて記録に残すための手段です。次のような場面は、これだけでは進みません。
- 退職日をずらすよう求められている(退職日は自分で指定できる?)
- 有給消化を認めないと言われている(退職代行で有給消化はできる?)
- 未払いの賃金・残業代がある
- 損害賠償や懲戒解雇をほのめかされている。損害賠償の見通しは 損害賠償を請求されることはあるか にあります。懲戒解雇については 懲戒解雇になるか をご覧ください。
会社と話し合えるのは、労働組合が運営するタイプと弁護士が運営するタイプです。労働組合の交渉権限は労働組合法6条にあります。争いが法的なものになっているなら弁護士の領域になります(弁護士法72条)。違いは 運営元タイプの違い にまとめました。団体交渉権で何ができるのか もあわせてご覧ください。
内容証明で残せるものと、残せないもの
- 内容証明が証明するのは「いつ・どんな内容の文書を・誰から誰あてに差し出したか」。内容が正しいことや相手が納得したことは証明しない
- 窓口では内容文書・謄本2通・封筒・料金を用意する。一般書留とする必要がある
- 用紙や記載用具は問わないが、謄本には字数・行数の制限がある
- 差し出した日から5年以内は、差出郵便局に保存された謄本の閲覧を請求できる
- e内容証明なら24時間受付
- 円満に進んでいる場面では不要。「受け取らない」「言った言わない」の懸念がある時の道具
内容証明は最後の手段ではなく、記録を残すための普通の道具です。必要かどうかを見極めて、必要なら淡々と使ってください。
退職後の給付金(失業給付)について
こじれた退職のあと、給付を当てにする人もいるかもしれませんが、注意が必要です。失業給付(雇用保険の基本手当)の申請は、退職後にご本人がハローワークで行う手続きで、退職代行が代理申請することはできません。 受給の可否・金額・時期は、加入期間や離職理由などご自身の事情によって異なります。
当サイトは制度の概要や考え方を情報として紹介するにとどめ、申請の代行や受給の保証は行いません。 具体的な対象可否や手続きは、ハローワークなどの公的機関や、社会保険労務士をはじめとする専門家にご確認ください。「必ずもらえる」「受給を保証する」といった断定的な案内には十分ご注意ください。
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