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就業規則に「1か月前」とある。2週間で辞められる?

「就業規則には"退職は1か月前までに申し出ること"と書いてある。でも、民法では2週間で辞められると聞いた」。この食い違いは、退職を考え始めた人がほぼ必ずぶつかる論点です。しかも調べると、サイトによって書いてあることが違う。ますます動けなくなります。

この記事では、両方の条文を出したうえで、どちらの日付になるのかを実際に並べるという進め方を提案します。結論を一方に決めつけるのではなく、日付を2つ持って話をする。これがいちばん現実的な構えです。

この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。就業規則と民法の関係については法律家の間でも説明が分かれる論点です。実際の進め方は、就業規則の本文を確認したうえで、弁護士や社会保険労務士など専門家にご相談ください。

民法627条1項が定めているのは「2週間」

まず民法627条1項を、条文のまま引きます。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

期間の定めのない雇用(正社員など)について、申入れの日から2週間の経過で雇用が終了するという定めです。

数え方には、同法140条と141条が関わります。

第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

第百四十一条(期間の満了) 前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。

申し出た日そのものは数に入れず、翌日から数えるのが基本の形です。実際に何月何日になるのかは、退職日の逆算カレンダー がこの数え方で日付を出します。

なお、期間の定めがある雇用(契約社員など)には627条1項が直接あてはまりません。626条・628条の枠組みになります。詳しくは 契約社員は退職代行を使える? をご覧ください。

就業規則の「1か月前」は何を根拠にしているか

一方、就業規則の側です。労働基準法89条は、就業規則に記載すべき事項を列挙しています。その3号がこれです。

退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

退職に関する事項は、就業規則の必要記載事項です。したがって「退職しようとする者は1か月前までに申し出ること」という条項は、この3号にもとづく記載として置かれているのが通常です。

同条の柱書はこうなっています。

常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

つまり、就業規則の予告期間は「会社が勝手に作った社内ルール」ではなく、法律が求める記載事項の中に位置づけられている。ここは押さえておくべき点です。だからこそ、単純に無視できるかどうかが論点になるわけです。

「どちらが優先か」は言い切らない

この論点について、当サイトは「2週間が必ず優先します」とも「就業規則に従わなければなりません」とも書きません。

理由は2つあります。

  1. 説明が分かれる論点だから。 民法627条1項の性質をどう捉えるかによって結論が変わる、という整理がなされている領域です。断定して読者を誤らせるより、両方の日付を示すほうが安全だと考えています。
  2. 実務では"どちらが正しいか"より"どこで折り合うか"で進むから。 会社が規則どおりを求め、こちらが2週間を主張する。この距離は、たいてい話し合いで埋まります。

そこで当サイトの 退職日の逆算カレンダー は、判断をせず、両方の日付を並べて出す設計にしています。入力するのは、申し出る日(または辞めたい日)、就業規則の予告日数、有給の残り日数です。出るのは日付だけで、「辞められるかどうか」の結論は出しません。

話し合いになった時、誰が話せるか

日付に開きがあるとき、埋めるのは交渉です。そしてここで、運営元タイプの違いが効いてきます。

運営元タイプ 退職日の調整でできること
民間企業 希望を伝えるのみ。押し返されるとそれ以上進めない
労働組合 団体交渉として退職日を話し合える
弁護士 代理人として交渉し、争いになれば法的対応まで

労働組合が交渉できる根拠は労働組合法6条(交渉権限)です。範囲は 団体交渉権で何ができるのか に整理しています。

「2週間で辞めたいが、就業規則は1か月前と書いてある」という状態は、交渉が必要になる典型例です。伝達しかできない民間企業タイプを選ぶと、会社が規則を盾にした時点で行き止まりになりやすい、という点は知っておいてください。タイプごとの違いは 運営元タイプの違い を、料金の目安は 料金相場と選び方 をご覧ください。

進め方の順番

  1. 就業規則の本文を確認する。 予告期間が何日(何か月)と書かれているかを、正確に読み取ります。労働基準法106条にもとづき、就業規則は労働者に周知されているはずのものです。社内ポータル・事務所の備え付け・配布物のいずれかにあります。
  2. 両方の日付を出す。 退職日の逆算カレンダー に申し出予定日と予告日数を入れて、2つの日付を並べます。
  3. 有給の残日数を確認する。 退職日が動くと、消化できる日数も動きます。退職代行で有給消化はできる? も参考に。
  4. 転職先の入社日があるなら、そこから逆算する。 締切が2つある場合、先に固定すべきは入社日側です。在職中の転職と退職のタイミング が参考になります。
  5. 交渉が要りそうなら、交渉できるタイプを選ぶ。 ここで運営元の判断に戻ります。

まとめ

  • 民法627条1項は、期間の定めのない雇用について申入れの日から2週間の経過で終了すると定める。数え方は140条・141条による
  • 就業規則の予告期間は、労働基準法89条3号「退職に関する事項」にもとづく記載であり、単なる社内の慣習ではない
  • どちらが優先されるかは説明が分かれる論点。当サイトは断定せず、両方の日付を並べて出す方針を取っている
  • 開きを埋めるのは交渉。交渉できるのは労働組合と弁護士で、民間企業タイプは伝達までにとどまる

「規則か法律か」で頭の中だけで戦っても前に進みません。まず日付を2つ出して、そこから話を始めてください。

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当サイトは制度の概要や考え方を情報として紹介するにとどめ、申請の代行や受給の保証は行いません。 具体的な対象可否や手続きは、ハローワークなどの公的機関や、社会保険労務士をはじめとする専門家にご確認ください。「必ずもらえる」「受給を保証する」といった断定的な案内には十分ご注意ください。

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