退職後に届く納付書は3つ|住民税・国民健康保険・国民年金の関係を1枚に
退職して数週間から数か月のあいだに、自宅に役所からの封筒が続けて届きます。中身は納付書で、それぞれ差出人も金額も期限も違います。収入が止まっている時期なので、まとめて来ると心臓に悪いところです。
この記事では、何が何通届くのかを1枚に整理します。個別の中身は、それぞれの記事に分けてあります。
この記事は法令と公的機関の公表資料を整理したものであり、税務・保険の助言ではありません。実際の金額・期限は届いた通知書と、市区町村・年金事務所の窓口でご確認ください。
何が「自分払い」に変わるのか
在職中、これらはすべて給与から天引きされていました。退職すると、天引きという回収手段がなくなります。制度が終わるのではなく、払い方だけが変わる、というのが全体の骨格です。
| 届くもの | 差出人 | 在職中は | 退職後は |
|---|---|---|---|
| ① 住民税の納付書 | お住まいの市区町村 | 給与から特別徴収 | 自分で納付(普通徴収) |
| ② 国民健康保険料(税)の納入通知書 | お住まいの市区町村 | 健康保険料として天引き | 自分で納付 |
| ③ 国民年金保険料の納付書 | 日本年金機構 | 厚生年金保険料として天引き | 自分で納付 |
②と③は、転職先が決まっていて空白がない場合は届きません(新しい会社の社会保険に入るため)。①は、退職の時期によって届き方が変わります。
① 住民税:前の年の分を払う
住民税は、前の年の所得に対する税を、翌年の6月から翌々年5月にかけて納める仕組みです。だから、収入が止まったあとに、働いていた年の分の請求が来ます。
退職の時期によって、残りをまとめて最後の給与から引かれる場合と、自分で納付する場合に分かれます。この分岐は条文にあたって 住民税は退職後どう払う?地方税法の条文で仕組みを確認 にまとめました。3つのなかで、金額に驚きやすいのはこれです。
② 国民健康保険料:届出は自分から
国民健康保険は、会社の健康保険をやめた日から資格が始まります。ただし、市区町村がそれを知る手段は本人の届出です。国民健康保険法9条1項は次のように定めています。
世帯主は、厚生労働省令で定めるところにより、その世帯に属する被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項その他必要な事項を市町村に届け出なければならない。
届出が遅れても資格は退職の翌日から始まっているので、あとからまとめて請求されます。この構造は 保険証を返したあと病院にかかるとどうなるか で詳しく扱いました。
なお、任意継続を選んだ場合、②は届きません。かわりに協会けんぽ・健康保険組合へ保険料を納めます。金額の決まり方は 任意継続の保険料はどう決まるか、倒産・解雇で辞めた場合の国民健康保険料の扱いは 会社都合で辞めた人の国民健康保険料が下がる仕組み にあります。
③ 国民年金保険料:納付義務は本人にある
年金の側は、納める人がはっきり条文に書かれています。国民年金法88条は次のように定めています。
被保険者は、保険料を納付しなければならない。 2 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。 3 配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。
本人だけでなく、世帯主と配偶者が連帯して義務を負う、という書き方になっています。実家に戻る場合などは、ここを知っておくと家族との話が早くなります。
金額と期限については、日本年金機構の国民年金保険料(2026-09-06 確認)が、令和8年度の保険料を「1カ月あたり17,920円」、納付期限を「納付対象月の翌月末日」としています。月末が休場日のときは翌月最初の営業日が期限になります。
払える見込みが立たないときは、放置せずに免除・納付猶予の申請を検討することになります。制度の中身は 退職して国民年金が払えないとき にまとめました。
届く時期の目安と、先にできること
正確な時期は自治体・時期によって違いますが、退職の届出をした順に、数週間から2か月ほどの幅で届くというのが実務上の感覚です。だから、先に金額の見当を立てておくほうが精神的に楽になります。
- 退職後の支出全体を並べる → 退職後の固定費シミュレーター
- 失業給付でいくら入るかの目安 → 失業手当シミュレーター
- 手続きの日付を並べる → 退職日の逆算カレンダー
- 生活費の考え方 → 失業給付と生活費
入ってくる金額(失業給付)と、出ていく金額(この3つ+家賃・通信)を同じ紙に並べると、何か月耐えられるかが数字で出ます。感覚で不安になっている状態から抜けるには、これがいちばん早い方法だと思います。
まとめ
- 退職後に届く納付書は、原則①住民税 ②国民健康保険料 ③国民年金保険料の3つ
- 制度が新しく始まるのではなく、天引きが自分払いに変わるだけ
- ①は前の年の所得に対する税なので、収入が止まったあとに来る
- ②は届出をしないと手続きが進まないが、資格と保険料は退職の翌日から発生している(国民健康保険法9条1項)
- ③は本人に納付義務があり、世帯主・配偶者が連帯して義務を負う(国民年金法88条)。令和8年度は月17,920円、期限は翌月末日
- 転職先が決まって空白がなければ、②③は届かない
3通が別々に届くので大きく見えますが、同じ「天引きの置き換え」です。届く前に金額を並べておけば、封筒を開けるときの温度が変わります。
出典(すべて 2026-09-06 に確認)
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