辞めた後の固定費
退職すると、これまで給与から引かれていた健康保険・年金・住民税を、自分で払う形に切り替わります。 金額そのものより、「何を選べるのか」と「いつまでに決めるのか」が見えていないことが不安のもとになりがちです。 公的機関が公表している条件・期限・保険料の決まり方だけを、そのまま並べます。
健康保険は3つから選ぶ
退職後の健康保険には、これまでの健康保険を続ける「任意継続」、市町村の 「国民健康保険」、家族の健康保険の「被扶養者」になる、の3つの道があります。 それぞれ条件と期限が違い、いちばん短いもので20日です。
| 任意継続 | 国民健康保険 | 家族の健康保険の被扶養者 | |
|---|---|---|---|
| 加入の条件 | 資格喪失日の前日までに健康保険の被保険者期間が継続して2か月以上あること。退職した事業所での期間が2か月に満たなくても、被保険者期間が1日も間を空けずに2か月以上あれば加入できる。 | 日本国内に住所があり、他の医療保険の加入者やその被扶養者、生活保護受給者、後期高齢者医療制度の加入者などに当たらないこと。 | 被保険者に主として生計を維持されていること。年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満。扶養認定日が令和7年10月1日以降で19歳以上23歳未満の場合は150万円未満)で、同居なら被保険者の収入の半分未満、別居なら被保険者からの仕送り額より少ないこと。 |
| 手続きの期限 | 資格喪失日(退職日の翌日等)から20日以内(20日目が土日・祝日の場合は翌営業日)に申出書を提出。郵送の場合は書類の到着が20日以内である必要がある。 | 加入するとき・脱退するときなどは14日以内に市町村の窓口へ届け出る。 | 被保険者の勤務先を通じて届け出る(届出の様式は日本年金機構が定めている)。 |
| 続けられる期間 | 退職日の翌日に資格を取得し、加入期間は2年間。 | 他の医療保険に加入するなどして資格を失うまで。 | 収入などの要件を満たしている間。 |
| 保険料の決まり方 | 退職時の標準報酬月額に、住んでいる都道府県の保険料率(40歳以上65歳未満は介護保険料率を含む)を乗じた額。在職中は事業所と本人で半分ずつ負担していたが、退職後は本人が全額負担する。上限があり、退職時の標準報酬月額が32万円(令和8年度)を超えていた場合は32万円で算出する。原則2年間変わらない。 | 世帯単位で算定し、世帯の被保険者ごとに応益分・応能分の各種類を計算して合計する。算定方法や徴収方法は各市町村の条例(国民健康保険組合の場合は規約)などで定められており、全国共通の金額はない。 | 被扶養者について、追加の健康保険料の負担は生じない。 |
| 問い合わせ先 | 加入していた保険者(協会けんぽの都道府県支部・健康保険組合)。 | 住んでいる市町村(特別区を含む)の国民健康保険の窓口、または国民健康保険組合。 | 扶養に入る先の家族の勤務先。 |
出典:協会けんぽ「任意継続の加入条件について」/協会けんぽ「任意継続の保険料について」/協会けんぽ「任意継続の加入期間について」/協会けんぽ「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」/厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」/厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」/日本年金機構「家族を被扶養者にするときの手続き」
この3つのうち、金額を先に見当づけられるのは任意継続だけです。国民健康保険は市町村ごとに 決め方が違い、全国共通の金額が存在しないため、窓口で聞くのがいちばん早い方法になります。
任意継続にした場合の月額の目安
保険料率は都道府県ごとに違いますが、「在職中は半分ずつ・退職後は全額」という関係は共通です。 そこで、率ではなく在職中の天引き額から逆に見当をつけます。
入力内容は送信されません
計算はブラウザの中だけで行います。氏名・会社名の入力欄はなく、金額がサーバーへ送信・保存されることもありません。
在職中の天引き額を入れると、任意継続にした場合の月額の目安を表示します。
国民年金
厚生年金の被保険者でなくなると、国民年金の保険料を自分で納める形になります。 こちらは健康保険と違い、全国一律の額が公表されています。
| 国民年金保険料(令和8年度) | 1カ月あたり 17,920円 |
|---|---|
| 付加保険料 | 月額400円。納めることで将来の老齢基礎年金の額を増やせる制度として案内されています。 |
収入が下がったときの免除・納付猶予の仕組みについては、扱いが個別の事情によって変わるため、 ここでは金額を示していません。お住まいの市区町村の国民年金の窓口、または年金事務所でご確認ください。
住民税は「去年の分」が後から来る
退職後のお金で意外なところに効いてくるのが住民税です。個人住民税の所得割は、 前年の1月1日から12月31日までの所得で算定されます。つまり、収入が無くなった年にも、 働いていた前年の所得にもとづく住民税の請求が続きます。
会社員のあいだは、会社が給与から天引きして納める「特別徴収」でした。 退職して給与の支払いを受けなくなると、地方税法上、会社は退職した月の翌月以降の 月割額を徴収して納める義務を負わなくなります。そのあとの扱いは、退職の時期で分かれます。
| 退職した時期 | 残りの分の扱い(地方税法321条の5第2項) |
|---|---|
| 1月1日〜4月30日 | その年の5月31日までに支払われる給与または退職手当等が月割額の全額を超えるときに限り、 その全額を徴収して市町村に納入する定めがあります(いわゆる一括徴収)。 |
| 6月1日〜12月31日 | 本人から「翌月以降の月割額を特別徴収の方法で徴収されたい」旨の申出があった場合に限り、 同じくまとめて徴収する定めがあります。申出をしない場合は下の扱いになります。 |
| 上記に当たらない場合 | 市町村から納税通知書が送られ、それにしたがって自分で納める形(普通徴収)になります。 |
出典:総務省「個人住民税」/e-Gov 法令検索「地方税法」
実際にどの扱いになるかは、勤務先の手続きとお住まいの市町村の運用によります。 金額と納付の時期は、市町村から届く納税通知書でご確認ください。
次に確かめておきたいこと
出ていく側の見当がついたら、入ってくる側と並べてみると、どのくらいの期間を 持ちこたえられるかが見えます。失業手当はいくら・何日ぶんで、公的な計算式に当てはめた金額と日数を出せます。
期間の見通しが立ったら、転職の準備の段階に、辞めてから動き出すときの段取りをまとめた記事があります。
このページが出していないもの
載せているのは、公的機関が公表している条件・期限・決まり方と、任意継続についての 倍率からの目安だけです。どれを選ぶのが得かの結論は出していません。 国民健康保険の金額は市町村ごとに決まるため、このページでは示していません。
金額や手続きの可否は、加入していた保険者・お住まいの市町村・勤務先の対応によって変わります。 期限のあるものが含まれるため、まずは該当する窓口に確認することをおすすめします。
※このページは一般的な情報の提供であり、税務・社会保険の個別の相談への回答ではありません。
よくある質問
任意継続と国民健康保険、どちらが安いですか?
どちらが安いかは、退職時の標準報酬月額と、お住まいの市町村の保険料の決め方、扶養している家族の人数によって変わります。国民健康保険の保険料は市町村の条例などで定められており、全国共通の金額はありません。任意継続の額は加入していた保険者に、国民健康保険の額はお住まいの市町村の窓口に問い合わせて、両方の金額を並べてから決めるのが確実です。
任意継続の申出には期限がありますか?
協会けんぽの記載では、資格喪失日(退職日の翌日等)から20日(20日目が土日・祝日の場合は翌営業日)以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出することが条件のひとつとされています。郵送の場合は書類の到着が20日以内である必要がある旨も併記されています。
国民健康保険の届出はいつまでですか?
厚生労働省のページには、被保険者となったとき・脱退するときなどは14日以内に、お住まいの市町村の国民健康保険の窓口(または国民健康保険組合)まで関係書類を提出する必要がある、と記載されています。
住民税は退職後どうなりますか?
個人住民税は前年の1月1日から12月31日までの所得で算定され、会社員は給与から天引きされる特別徴収で納めています。退職して給与の支払いを受けなくなると、地方税法上、会社は退職した月の翌月以降の月割額を天引きして納める義務を負わなくなります。ただし退職の時期によって扱いが分かれており、1月1日から4月30日までの退職の場合と、6月1日から12月31日までの退職で本人からの申出があった場合は、残りの分をまとめて給与や退職手当等から徴収する定めがあります。それ以外は、市町村から送られる納税通知書にしたがって自分で納める形(普通徴収)になります。
国民年金の保険料はいくらですか?
日本年金機構のページには、国民年金保険料の金額は1カ月あたり17,920円(令和8年度)と記載されています。加えて、付加保険料として月額400円を納めることで将来の老齢基礎年金の額を増やせる制度があることも掲載されています。