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定年退職の人を送るとき:「お別れ」にならない場合があるので確かめる

定年で辞める人を送るときに、いちばん外しやすいのがここです。その人は、明日から職場に来なくなるとは限りません。

継続雇用(職場によっては「再雇用」と呼ばれます)で、翌月から同じ席に座っていることがあります。そこに「長い間ありがとうございました、お元気で」の色紙を渡すと、双方が気まずくなります。

この記事では、まず制度の形を確認し、そのうえで送り方を考えます。

この記事は公表資料の整理です。実際の扱いは勤務先の就業規則によります。本人の予定は必ず本人か人事に確認してください。

定年の形は、ひとつではない

厚生労働省のモデル就業規則(令和7年12月版・2026-09-06 確認)は、第51条(定年等)について4つの規程例を示しています。

[例1] 定年を満70歳とする例 [例2] 定年を満65歳とし、その後希望者を継続雇用する例 [例3] 定年を満60歳とし、その後希望者を継続雇用する例(満65歳以降は対象者基準あり) [例4] 定年を満65歳とし、その後希望者の意向を踏まえて継続雇用又は業務委託契約を締結する例(ともに対象者基準あり)

4つのうち3つは、定年の後も働き続ける形が用意されています。 例4に至っては、雇用ではなく業務委託契約という選択肢まで入っています。

なお、モデル就業規則の例で使われている語は「継続雇用」です。職場では同じ状態を「再雇用」と呼ぶことがありますが、規程例の文言としては出てきません。就業規則を読むときは、会社が使っている語のほうに合わせて探すことになります。

つまり「定年退職」と聞いても、次のどれなのかは分かりません

パターン 送り出す側から見た状態
定年でそのまま退職 会えなくなる
継続雇用(再雇用)で残る 同じ職場に残る(役職や勤務日数が変わることが多い)
継続雇用で別の部署・関連会社へ 会社の中には残るが、職場は変わる
業務委託契約に切り替え 立場が「社外」に変わる

最初に確かめるのは、この4つのどれかです。 ここを聞かずに送別の準備を始めると、内容がすべてずれます。

聞き方は「いつまでこの席ですか」

「再雇用されるんですか」と直接聞くのは、聞かれる側からすると答えにくい質問です。文化庁の敬語の指針(文化審議会答申・平成19年2月2日・2026-09-06 確認)は、上位者に意思や願望を直接尋ねることについて、次のように書いています。

立場的に下位にいる者が上位にいる者に対して「フランス語が話せるか」と直接問うことは,相手の能力を測るような趣旨に取られてしまう。また,何を好むか,何がしたいか,何をするつもりか,などを問うことは,その上位者の心の内部に踏み込むことになると言えるだろう。

同じ箇所には、次の逃げ道も書かれています。

ただし,直接的な表現を避けることによって問い掛けることは可能である。

事実を問う形にすればよい、ということです。「4月からもこちらにいらっしゃいますか」「送別の会を用意してよいものでしょうか」のように、予定を聞く形にすると答えやすくなります。人事に確認できるなら、そちらのほうが本人の負担がありません。

残る場合の送り方

継続雇用で残ることが分かったら、送別の設計を変えます。

  • 「お別れ」の言葉を外す(「またよろしくお願いします」に寄せる)
  • 送別会ではなく、区切りの会にする(名前を変えるだけで空気が変わります)
  • 色紙は「これまで」より「これから」を書いてもらう
  • 持ち帰りにくい大きな花束を避ける(翌週も出社する人が抱えて帰ることになります)

言葉選びは 寄せ書き・メッセージカードのまとめ方 に、会の段取りは 送別会の幹事の段取り にまとめています。

会社としての記念品は、要件が別にある

定年のタイミングは、会社としての永年勤続表彰と重なることがよくあります。この場合、部署の有志で贈るものとは別に、会社名義の記念品が動きます。

ここは国税庁のNo.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき(2026-09-06 確認)の要件で判断します。要点だけ挙げると、勤続年数がおおむね10年以上であること、前の表彰からおおむね5年以上空いていること、そして現金・商品券や本人が自由に品物を選べる形は全額が課税対象になることです。

「長く勤めた人だから、現金のほうが喜ばれるだろう」は、会社名義では成り立ちません。 要件の全文と金額の線引き(創業記念品の10,000円以下など)、部署の有志として個人で包む場合との違いは 退職の餞別・記念品に税金はかかるか にまとめてあります。ここでは繰り返しません。

手続きの話は本人の側にある

定年退職では、雇用保険や年金の扱いが自己都合退職とは変わります。送り出す側から手続きの助言をする必要はありませんが、聞かれたときの案内先だけ知っておくと役に立ちます。

まとめ

  • モデル就業規則の定年の例は4つ(満70歳/満65歳+継続雇用/満60歳+継続雇用/満65歳+継続雇用または業務委託)。うち3つは定年後も働き続ける形を含む
  • 「定年退職」と聞いても、会えなくなるとは限らない
  • 予定は事実を問う形で聞く(意思や希望を直接尋ねない)
  • 残る場合は「お別れ」の言葉を外し、区切りの会として組む
  • 会社名義の永年勤続記念品は、勤続おおむね10年以上前回から5年以上が要件。現金・商品券・本人が自由に選べる場合は全額が課税対象(詳細は餞別の記事へ)

最初の一手は、贈り物でも会場でもありません。「4月からもここにいらっしゃいますか」の一言です。

出典(すべて 2026-09-06 に確認)

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