退職のプレゼント選び:避けたほうがよい品と、会社名義で渡すときの線
送り出す側で最後まで決まらないのが「何を贈るか」です。選択肢が多すぎて絞れないというより、外してはいけない線がどこにあるか分からない、というのが実際のところではないでしょうか。
この記事では、公式に「避けたほうがよい」とされている品と、会社名義で渡すときに効いてくる税の線を並べます。「これがおすすめ」という商品の話はしません。
この記事は公表資料の整理です。何を良しとするかは相手と職場によります。税務の処理は自社の経理・税理士にご確認ください。
避けたほうがよいとされている品
三越伊勢丹の法人向けギフトサイトは、退職されるお取引先の方へ贈るプレゼント(2026-09-06 確認)で、次のように書いています。
退職祝いには、縁起が悪いとされているアイテムは避けるのが基本です。退職祝いとしてふさわしくないアイテムはいくつかあり、靴下やハンカチ、文房具、カバンなどが該当します。特に靴下は「踏みつける」、ハンカチは「手切れ」という意味が連想できるため、避けましょう。退職祝いにふさわしくないアイテムを贈ると、失礼にあたるため、気持ち良く受け取っていただけないことも考えられます。
挙げられているのは4つです。
| 品 | 理由として書かれていること |
|---|---|
| 靴下 | 「踏みつける」が連想される |
| ハンカチ | 「手切れ」が連想される |
| 文房具 | (上の分類として挙げられている) |
| カバン | (上の分類として挙げられている) |
気をつけたいのは、これが「取引先へ贈る場合」の記載だという点です。 社内の親しい同僚に対しても同じ線を引くかどうかは、書かれていません。相手との距離で変わる部分だと考えるのが自然です。
なお、ハンカチや文房具は「配りやすいもの」として実際によく選ばれています。同じ品でも、本人が配る側なのか、送り出す側が贈るのかで意味が変わるということです。本人が配る場合の考え方は 退職の挨拶で配るお菓子 にまとめています。
予算の目安は3,000〜10,000円(取引先向け)
同じページは、予算について次のように書いています。
お取引先さまの方に贈る退職祝いのプレゼントの予算は、3,000円~10,000円ほどが一般的です。お相手との関係性にもよりますが、お取引先さまは、あくまで仕事上の付き合いということもあるので、あまりにも高価すぎるプレゼントは避けましょう。(略)逆にあまりにも安価なプレゼントだと、感謝の気持ちを伝えるのが難しい可能性があります。予算の目安から、大幅に外れないようにプレゼントを選ぶと良いでしょう。
上限だけでなく下限にも触れているのが、この記載の特徴です。高すぎても安すぎても伝わらない、という書き方になっています。
社内で有志を募る場合は、1人あたりの負担で考えることになります。参考として、総務省統計局の家計調査 家計収支編 第1表(2025年・単身世帯・2026-09-06 確認)では、交際費が1か月あたり15,629円、そのうち贈与金が6,308円です。1件で数千円を超えると、月の交際費の中で目立つという規模感になります。集め方は 職場の餞別はいくら包むか にまとめました。
会社名義なら、税の線が1本入る
部署としてではなく会社として記念品を出す場合、国税庁のNo.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき(2026-09-06 確認)の要件が効いてきます。永年勤続者への記念品については、次の3つです。
(1)その人の勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内であること (2)勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること (3)同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること
創業記念などの記念品については、次のとおりです。
(1)社会一般的にみて記念品としてふさわしいものであること (2)記念品の処分見込価額による評価額が10,000円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること (3)一定期間ごとに行う行事で支給をするものは、おおむね5年以上の間隔で支給するものであること
そして、要件を満たしても課税されるものがあります。国税庁は、現金や商品券の支給、または本人が自由に品物を選べる場合には、その全額が課税対象になるとしています。
「本人に選んでもらおう」というカタログギフトの発想は、ここで引っかかる可能性があります。 会社名義で出すなら、経理に確認してから決めてください。詳しくは 退職の餞別・記念品に税金はかかるか にまとめています。
選ぶときの実際的な条件
縁起の話とは別に、受け取る側の事情で外れることがあります。
- 持ち帰れる大きさか(最終出社日は返却物と書類で荷物が増える日です)
- 置き場所が要るものではないか(引っ越しを控えている人もいます)
- 好みが強く出るものではないか(香り・味・色)
- 賞味期限が短くないか(有給消化に入る人は、しばらく自宅にいないことがあります)
- 名入れをするか(喜ばれる場合と、使いにくくなる場合がある)
1がいちばん軽視されがちです。 花束と記念品と書類を同時に抱えて帰ることになるので、大きさは真剣に考える価値があります。花束を贈る場合の段取りは 退職に花束を贈るときの段取り にまとめました。
誰の名前で渡すかを先に決める
同じ品でも、「部署一同」「有志一同」「個人」で意味が変わります。名入れの書き方と連名の扱いは 退職の餞別・記念品ののし に整理しています。渡す場面の段取り(送別会の席か、最終出社日の朝か)は 送別会の幹事の段取り をご覧ください。
まとめ
- 百貨店の公式ページが挙げている避けたい品は靴下・ハンカチ・文房具・カバンの4つ(取引先向けの記載)
- 理由として書かれているのは、靴下=「踏みつける」、ハンカチ=「手切れ」の連想
- 予算の目安は3,000〜10,000円(同じく取引先向け)。下限にも触れているのが特徴
- 会社名義の記念品は、評価額10,000円以下・勤続おおむね10年以上・前回から5年以上が要件
- 現金・商品券・本人が自由に選べる場合は全額が課税対象。カタログギフトは事前に経理へ
- 実務では持ち帰れる大きさかがいちばん効く
縁起の話は、迷ったときに外す理由として使えば十分です。外さない品を選ぶより、渡す場面を間違えないほうが効きます。
出典(すべて 2026-09-06 に確認)
- 三越伊勢丹「退職されるお取引先の方へ贈るプレゼント」(法人向けギフト)
- 国税庁「No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき」
- 総務省統計局「家計調査 家計収支編 第1表 1世帯当たり1か月間の収入と支出」(2025年・単身世帯/交際費15,629円・贈与金6,308円)
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