退職に花束を贈るときの段取り:3月に集中する理由と、渡す日の決め方
送別の花束は、買う日と渡す日が一致しないところで失敗します。前日に買えば当日しおれ、当日の朝に買いに行けば店が開いていない。そして退職シーズンは、花屋がいちばん混む時期と重なります。
この記事では、公表されている数字で「なぜ混むのか」を確認したうえで、渡す日の決め方までを並べます。
この記事は公表資料の整理です。花の選び方に決まりがあるわけではありません。品種・色の可否は購入する花店にご相談ください。
花の支出は、3月から5月に跳ね上がる
農林水産省の花きの現状について(令和8年6月・2026-09-06 確認)には、二人以上世帯の切り花・園芸用植物・園芸用品への月別支出金額(令和6年)が載っています。
| 月 | 支出金額 |
|---|---|
| 1月 | 626円 |
| 2月 | 853円 |
| 3月 | 1,509円 |
| 4月 | 1,760円 |
| 5月 | 2,082円 |
| 6月 | 1,299円 |
| 7月 | 1,021円 |
| 12月 | 1,588円 |
最も少ない1月(626円)と、最も多い5月(2,082円)で3倍以上の開きがあります。3月から5月にかけて跳ね上がるのは、卒業・異動・母の日が重なるためです。
退職が集中する3月末は、花屋が一年で最も忙しくなる時期のひとつということになります。当日に飛び込んで希望どおりの花束が手に入る前提で組まないでください。予約が要ります。
花の種類には、用途の偏りがある
同じ資料は、切り花の主要品目と主な用途を次のように示しています(令和5年生産農業所得統計・産出額順)。
| 品目 | 産出額 | 資料に書かれている主な用途 |
|---|---|---|
| キク | 593億円(1位) | 仏花・葬儀・装飾 |
| コチョウラン・洋ラン(鉢) | 352億円(2位) | お祝い |
| 切り枝 | 254億円(3位) | いけばな・装飾 |
| ユリ | 180億円(5位) | 装飾・葬儀 |
| バラ | 163億円(6位) | ブライダル・贈答 |
キクが産出額1位である一方、用途は仏花・葬儀が中心という構造です。花き全体でも、業務用需要2,491億円のうち葬儀用が1,727億円を占め、婚礼用の372億円を大きく上回っています。
だからといって「退職の花束にキクは駄目」と決まっているわけではありません。洋菊やスプレーマムは送別のアレンジにも使われます。 ここは断定できるところではないので、用途を伝えて花店に組んでもらうのが確実です。
渡す日は「最終出社日」で押さえる
花束は日持ちしません。日程を1日でも間違えると渡せません。
労働基準法39条1項(e-Gov 法令検索・2026-09-06 確認)は、有給の付与について次のように定めています。
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
2項の表では、6か月経過日から起算した継続勤務年数に応じて、1年で1労働日、2年で2労働日、3年で4労働日、4年で6労働日、5年で8労働日、6年以上で10労働日が加算されます。勤続6年半以上なら年20日です。
残った有給をまとめて消化すると、在籍はしているが出社しない期間ができます。「退職日に渡そう」と考えていると、その日には本人が来ません。最終出社日を本人に確認してから予約する、が正しい順番です。日付は 退職日の逆算カレンダー で並べられます。
当日の段取り
- 受け取り時間を決める(当日の朝か、前日の夕方か。前日なら涼しい場所に置ける環境が要る)
- 渡す場面を決める(送別会の席か、最終出社日の終業前か)
- 持ち帰る手段を確認する(電車で持ち帰るなら、抱えられる大きさに)
- 写真を撮る人を決めておく(後から「撮っていなかった」が起きやすい)
3が現実的にいちばん効きます。 大きな花束は見栄えがしますが、満員電車で持ち帰るのは大変です。記念品や書類と一緒になることも考えて、アレンジメントや小ぶりの花束という選択肢も残しておくとよいと思います。
金額については、三越伊勢丹の法人向けギフトサイトが退職されるお取引先の方へ贈るプレゼント(2026-09-06 確認)で、取引先へ贈る退職祝いの予算を「3,000円~10,000円ほどが一般的です」としています。花束と品物を両方用意するなら、この帯に両方を収めると考えると決めやすくなります。
品物との組み合わせ方は 退職のプレゼント選び に、集める金額の考え方は 職場の餞別はいくら包むか に、送別会の日程の決め方は 送別会の幹事の段取り にまとめています。
「花束はいらない」と言われたら
持ち帰りの負担や、飾る場所がないという理由で辞退されることがあります。辞退は珍しいことではありません。 その場合は、日持ちする鉢物や、そもそも花以外に切り替えるのが素直です。贈り物や送別会そのものを辞退したいと言われた場合の受け止め方は 退職の挨拶をしない・送別会を辞退したいとき にまとめました。
まとめ
- 切り花への支出は3月1,509円・4月1,760円・5月2,082円と跳ね上がる。1月(626円)の3倍以上
- 退職期は花屋の繁忙期と重なる。当日の飛び込みではなく予約で押さえる
- 品目には用途の偏りがある(キクは産出額1位だが用途は仏花・葬儀が中心)。用途を伝えて組んでもらう
- 渡す日は退職日ではなく最終出社日(有給で最大20日ぶん前倒しになる)
- 当日の要は持ち帰れる大きさ。荷物が増える日に渡すことを忘れない
花束は「用意すること」より「その日に本人がいること」のほうが難しい贈り物です。日程だけは先に確かめてください。
出典(すべて 2026-09-06 に確認)
- 農林水産省「花きの現状について」(令和8年6月/月別支出金額は家計調査結果(総務省統計局・二人以上の世帯)を基に作成、産出額は令和5年生産農業所得統計)
- e-Gov 法令検索「労働基準法」39条1項・2項
- 三越伊勢丹「退職されるお取引先の方へ贈るプレゼント」(法人向けギフト・予算3,000〜10,000円)
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