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退職の餞別・記念品に税金はかかるか:会社が出す場合と、個人で包む場合

送り出す側になったとき、贈り物の中身より先に総務から返ってくるのが「それは経費で落ちるのか」「もらった側に税金はかからないのか」という話です。ここは国税庁がはっきり基準を公表しているところなので、迷う必要がありません。

この記事では、会社として出す場合個人としてお金や品物を渡す場合を分けて、公表資料に書かれている数字だけを並べます。

この記事は国税庁の公表資料を整理したものであり、税務の助言ではありません。実際の処理は勤務先の経理・顧問税理士・所轄の税務署にご確認ください。

まず、2つの場面を分ける

会社が出す 個人が包む
誰から誰へ 会社 → 退職する本人 同僚・上司 → 退職する本人
論点になる税 受け取る側の所得税(給与として課税されるか) 受け取る側の贈与税
基準を出している資料 国税庁タックスアンサー No.2591 国税庁タックスアンサー No.4402・No.4405

同じ「餞別」でも、出どころが違えば見る条文が変わります。 ここを混ぜたまま調べると答えが出ません。

会社が出す記念品:3つの要件がそろえば課税されない

国税庁のNo.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき(2026-09-06 確認)は、永年勤続者に支給する記念品や旅行・観劇への招待費用について、次の要件を挙げています。

(1)その人の勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内であること (2)勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること (3)同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること

創業記念などの記念品についても、同じページが別に3つの要件を置いています。

(1)社会一般的にみて記念品としてふさわしいものであること (2)記念品の処分見込価額による評価額が10,000円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること (3)一定期間ごとに行う行事で支給をするものは、おおむね5年以上の間隔で支給するものであること

数字として押さえるところは3つです:評価額10,000円以下/勤続おおむね10年以上/前回からおおむね5年以上

現金と商品券だけは扱いが違う

同じページには、要件を満たしても課税されるものがはっきり書かれています。国税庁は、現金や商品券の支給、または本人が自由に品物を選べる場合には、その全額が課税対象になるとしています。

「金額が小さいから大丈夫」という話ではありません。 現金・商品券というだけで、金額に関係なく給与として扱われます。会社名義で渡すなら、品物にするか、現金にするかで結論が変わるということです。

なお、退職金そのものの課税は別の仕組みで、こちらは勤続年数で控除額が変わります。詳しくは 退職金の税金は? にまとめています。

個人で包む餞別:「社会通念上相当」なら贈与税はかからない

同僚として包む餞別は、会社ではなく個人からの贈与です。国税庁のNo.4405 贈与税がかからない場合(2026-09-06 確認)は、贈与税がかからない財産を列挙しており、そのひとつとして次を挙げています。

個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの

「餞別」という語そのものは出てきませんが、祝物のための金品で社会通念上相当と認められるものという枠が置かれています。職場で数千円を包む程度の話が、ここから外れることは考えにくいというのが読み方です。ただし「社会通念上相当」の線がどこかは書かれていないので、そこを断定はできません。

基礎控除は110万円

金額の桁が変わる場合に効いてくるのが基礎控除です。国税庁のNo.4402 贈与税がかかる場合(2026-09-06 確認)は、暦年課税について次のように書いています。

その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から暦年課税に係る基礎控除額110万円を差し引いた残りの額に対してかかります

同ページは、あわせて次のようにも書いています。

1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)

部署一同で集めた餞別も、受け取る側から見れば1年間の合計に積み上がるという構造です。とはいえ、職場の餞別で110万円に届く場面はまずありません。

3つの数字で判断がつく

場面 見る数字 出典
会社が創業記念品を出す 評価額 10,000円以下 No.2591
会社が永年勤続を表彰する 勤続 おおむね10年以上・前回から おおむね5年以上 No.2591
個人から受け取る 年間 110万円 の基礎控除/社会通念上相当な祝物は非課税 No.4402・No.4405

会社が現金・商品券で渡す場合だけは、この表のどこにも乗らずに全額課税になります。ここが唯一の落とし穴です。

掛け紙と渡し方は別の話

税の扱いが整理できたら、あとは体裁です。のし紙の水引・表書き・連名の書き方は 退職の餞別・記念品ののし に、いくら包むかの考え方は 職場の餞別はいくら包むか にまとめました。

まとめ

  • 会社が出す個人が包むかで、見る資料が変わる
  • 会社の記念品は、創業記念なら評価額10,000円以下、永年勤続なら勤続おおむね10年以上・前回からおおむね5年以上
  • 現金と商品券は、金額に関係なく全額が課税対象(本人が自由に選べる場合も同じ)
  • 個人から受ける祝物のための金品で社会通念上相当と認められるものは贈与税がかからない
  • 暦年課税の基礎控除は 110万円。合計が110万円以下なら申告も不要

迷ったら「これは会社の名前で出すのか、個人で包むのか」から先に決めてください。そこが決まれば、あとは表に当てはめるだけです。

出典(すべて 2026-09-06 に確認)

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