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寄せ書き・メッセージカードのまとめ方:回す順番と、上司に使わない言葉

色紙を回し始めてから気づくのは、書く内容よりも、集める段取りのほうが難しいということです。休みの人がいる、書いてくれない人がいる、最後に書く場所が余る。

そして書く側は書く側で、「ご苦労様でした」でいいのか、上司の仕事ぶりを褒めていいのか、と手が止まります。

この記事は、その両方、幹事の段取り言葉選びを分けて扱います。

この記事は公表資料の整理です。書き方の作法は職場と相手によります。ここに挙げるのは、公的な指針に書かれている考え方の範囲です。

段取り:締め切りは3つある

寄せ書きには締め切りが3つあり、一番手前のものから逆算します

締め切り 何の日か
① 渡す日 最終出社日、または送別会の日
② 全員が書き終わる日 ①の2営業日前にする(書き漏れを追う時間)
③ 回し始める日 ②から、人数 ÷ 1日に回せる人数 で逆算

②を①の前日にすると、必ず間に合いません。 休みの人・外出の人・出張の人を追いかける時間が要ります。

渡す日そのものが動くことがあります。有給を消化する人は、退職日より前に出社しなくなるからです。労働基準法39条1項(e-Gov 法令検索・2026-09-06 確認)は次のとおりです。

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

2項の表では、6か月経過日から起算した継続勤務年数に応じて、1年で1労働日、2年で2労働日、3年で4労働日、4年で6労働日、5年で8労働日、6年以上で10労働日が加算され、勤続6年半以上なら年20日です。20日ぶんが残っていれば、最終出社日は退職日の1か月近く前に来ます。日付は 退職日の逆算カレンダー で並べられます。

段取り:回し方は「置く」より「渡す」

色紙を共有スペースに置いて自由に書いてもらう方式は、書かない人が可視化されないので進みません。次の形にすると止まりにくくなります。

  1. 順番を決めて名指しで渡す(次に渡す人を紙に書いて添える)
  2. 1人あたりの持ち時間を決める(「その日のうちに次の人へ」など)
  3. 書くスペースをあらかじめ割る(余白の偏りが防げる。人数が多いときは付箋やシールを配る)
  4. 在宅・別拠点の人の分を先に処理する(郵送や別紙で。最後に回すと間に合わない)
  5. 本人に見つからない置き場所を決める(意外と事故が起きます)

3は地味ですが効きます。最初の数人が大きく書くと、後半の人が書けなくなります。

色紙代を誰が出すかも、先に決めておくところです。ホットペッパーグルメ外食総研の「歓送迎会」&「花見」動向を調査(2026年2月実施・n=7,665・2026-09-06 確認)では、歓送迎会の1人あたり平均予算は4,781円でした。会費がこの水準にあるところへ色紙代を別途集めると、集金が二度になります。 会費に含めてしまうか、幹事が立て替えるかを、案内を出す前に決めてください。

言葉:目上に「ご苦労様」を使わない

書く内容で最も迷うのが、目上の人への言葉です。ここは文化庁の敬語の指針(文化審議会答申・平成19年2月2日・2026-09-06 確認)が正面から扱っています。

「御苦労様」は,基本的には,自分側のために仕事をしてくれた人,例えば,配達をしてくれた店員などに対して「ねぎらい」の気持ちを込めて用いる表現である。(なお,このような場合に「お疲れ様」と言うのは不自然である。)ねぎらいは,上位者から下位者に向けたものとなるため,目上の人に対しては「御苦労様(でした)」を用いない方が良い。

では何を使うか。同じ指針は続けて次のように書いています。

これに対し「お疲れ様」は「ねぎらい」の気持ちを込めて使われる表現ではあるが,一緒に仕事をした後など,お互いに声を掛け合うような場合にも多く用いる表現である。(なお,このような場合に「御苦労様」と言うのは不自然である。)そのような状況であれば,「お疲れ様」ではなく「お疲れ様でございました」などを用いるというような丁寧な言い方であれば,だれに対しても使える表現である。したがって,仕事上の上司であっても使うことができる。

「ご苦労様でした」→「お疲れ様でございました」、あるいは感謝の形に変える。指針はこうまとめています。

要するに,時間外に仕事を教えてくれた上司に対しては「御苦労様でした」というねぎらいの言葉ではなく,「ありがとうございました」と感謝の気持ちを表す言い方に変えた方が良く,一緒に書類作成に追われていた上司に対しては「お疲れ様でございました」と,気持ちを込めて表現すれば良いわけである。

言葉:上司の能力を褒めない

もうひとつ、寄せ書きで書きがちなのが「教え方が上手でした」「仕事が早くて尊敬していました」といった一文です。同じ指針は、これを次のように扱っています。

また能力,技術などを褒めることは,相手の専門的な能力,技術について評価することにつながる。その意味で,評価する立場にない者が能力や技術について褒めることは,適切な表現だとは言えない。特に自分が教えを受けた立場であるなら,褒めるのではなく「分かりやすく教えていただき,ありがとうございました。」などと述べることで,感謝やお礼の気持ちを率直に伝えることができる。

褒めるのではなく、感謝に変える。 これがそのまま、寄せ書きで使える書き換えの型になります。

同じ箇所には、次のただし書きも置かれています。

基本的には,褒めたい気持ちを表明すること自体に問題があるわけではない。しかし,褒めるのにふさわしい相手,状況,事柄なのかについては,よく考える必要がある。

褒めること自体が禁じられているわけではありません。 相手と場面によって、感謝の形にしたほうが伝わる、という話です。

言葉:定型を並べない

指針は、新しい伝達媒体の項でも、画一的な表現への注意を書いています。

新しい媒体は,一人対一人の伝達と同じような手軽さで,一人から多人数に向けて同時に通信することも可能にしているが,その場合に,多人数に向けた通信であることに対する自覚に欠けた画一的な言語表現や敬語使用をしがちであることへの批判や注意喚起である。

色紙も同じで、全員が同じ文面だと1枚として読めません。書く人に一言添えるとしたら、これだけで十分です。「その人としか共有していない出来事を、一行入れてください」。

何を書くか迷ったときの型

  1. 具体的な場面を一つ(いつ・何のとき)
  2. それに対する感謝(褒めではなく)
  3. 今後への一言(相手の予定を決めつけない書き方で)

「ご活躍を」は次が決まっていない人には空振りします。「お体を大切に」「またどこかで」のほうが外れません。

メールで送る場合の作法は 退職の挨拶メールに返信するとき に、色紙と一緒に渡す品物は 退職のプレゼント選び に、渡す場面の組み立ては 送別会の幹事の段取り にまとめています。

まとめ

  • 締め切りは3つ。渡す日 → 書き終わる日(2営業日前)→ 回し始める日の順に逆算する
  • 渡す日は退職日ではなく最終出社日(有給で最大20日ぶん前倒しになる)
  • 色紙は置かずに名指しで渡す書くスペースを先に割る
  • 目上に「ご苦労様」は使わない。「お疲れ様でございました」か、感謝の形に変える
  • 能力を褒めるより感謝を書く(ただし褒めること自体が禁じられているわけではない)
  • 全員が同じ定型だと1枚として読めない。その人としかない一行を入れてもらう

段取りは逆算、言葉は感謝。この2つだけ決めておけば、あとは書く人が埋めてくれます。

出典(すべて 2026-09-06 に確認)

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