退職の挨拶はいつ・誰に:最終出社日と退職日は別の日
退職が決まると、次に困るのが「挨拶をいつ、誰にするか」だと思います。同僚に言っていいのはいつからなのか。取引先にはどのタイミングで伝えるのか。そして意外と見落とされているのが、最終出社日と退職日は同じ日とは限らないという点です。
この記事では、挨拶の順番と時期の一般的な目安を各社の解説から拾い、そのうえでなぜ2つの日付がずれるのかを条文で確認します。
この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言やマナーの正解を示すものではありません。社内の慣習や就業規則の定めによって扱いは異なります。具体的な進め方は勤務先の規定や上司の指示にしたがってください。
順番は「直属の上司が先」で揃っている
まず順番です。マイナビ転職の同僚に退職を伝えるタイミングは? まずは誰に言うべき?(2026-09-05 確認)には、「退職意思の表明は、職場の誰よりも先に直属の上司に相談を持ち掛けるのが基本中の基本です」と書かれています。
そのうえで、同僚や取引先への周知については「同僚はもちろん、取引先など周囲に退職を知らせるタイミングは上司や会社ときちんと相談の上で認識の相違がないようにしておきましょう」とされています。つまり「いつから言っていいか」は自分では決めない、というのがこの記事の立場です。
エン転職の退職の挨拶(スピーチ、メール、手紙等)のポイントは?(2026-09-05 確認)も同じ方向で、メールの送信は「退職が決定し、社内で退職情報がオープンになってから、最終出社日までに」行うべきとし、情報がオープンになっていないタイミングでの送信は避けるべきだとしています。
伝える順番そのものの整理は 退職を誰に、どの順番で伝えるか にまとめました。
時期の目安:社内と社外で違う
| 相手 | 目安の時期 | 出典に書かれている表現 |
|---|---|---|
| 直属の上司 | 一般的には1〜3ヵ月前 | 「一般的には1~3ヵ月前の告知が標準的」(マイナビ転職) |
| 社外・取引先 | 最終出社日の2〜3週間前 | 「後任者が決まる、社内にも退職することが周知されている、退職日(最終出社日)の2~3週間前」(マイナビ転職。※この出典は退職日と最終出社日を同じ意味で使っています) |
| 社外・取引先(別の言い方) | 引き継ぎが始まったころ | 「業務の引き継ぎが始まったタイミングで伝えましょう」(doda) |
| 社内全体 | 最終出社日 | 「最終出社日に送ることが一般的」(マイナビ転職) |
社外の時期について、dodaの【例文あり】退職挨拶メールやスピーチのマナー(2026-09-05 確認)は「早めに伝えたほうが引き継ぎの期間を長くとることができ、取引先からの安心感や信頼につながります」と理由まで書いています。日付そのものより、引き継ぎが動き出したかどうかを目印にするという考え方です。
最終出社日と退職日がずれる理由
ここが挨拶の設計でいちばん効くところです。多くの人は退職前に有給を消化するので、最後に出社する日と、籍が切れる日が別の日になります。
有給の権利は労働基準法39条1項に定めがあります。
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
一方、退職そのものの効力については民法627条1項が次のように定めています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
退職日は「籍が切れる日」、最終出社日は「最後に人に会える日」です。挨拶・お菓子・返却物はすべて後者に寄ってきます。残っている有給の日数の数え方は 退職時に有給は何日残っている? で扱いました。2つの日付を並べて置きたい場合は 退職日の逆算カレンダー が使えます。
挨拶の当日にやることは重なる
最終出社日は、挨拶だけの日ではありません。貸与品の返却、書類の受け取り、私物の持ち帰りが同じ日に集中します。エン転職の記事でも、最終日は慌ただしくなる前提で書かれています。
- 午前:貸与品の返却・引き継ぎの最終確認
- 午後の早い時間:社内向けの挨拶メール(時間帯の目安は 退職の挨拶メールの書き方 にまとめました)
- 終業前:お菓子などを配る場合はこの時間帯(退職の挨拶で配るお菓子)
受け取る書類の全体像は 退職時に受け取る書類一覧 にあります。挨拶の段取りを組むときは、書類の受け取りと同じ日に載せないほうが安全です。
まとめ
- 順番は直属の上司が先。同僚・取引先に伝える時期は上司と相談してから決める
- 社外は最終出社日の2〜3週間前、または引き継ぎが始まったタイミングが目安
- 社内全体への挨拶は最終出社日が一般的
- 有給を消化すると最終出社日と退職日はずれる(労基法39条の有給、民法627条1項の2週間)
- 最終出社日は返却・受け取りと重なるので、挨拶だけの日として設計しない
挨拶の「正解」を探すより先に、自分の最終出社日がいつなのかを確定させるほうが、段取りは早く決まります。
出典(すべて 2026-09-05 に確認)
- マイナビ転職「同僚に退職を伝えるタイミングは? まずは誰に言うべき?」
- マイナビ転職「【例文】退職あいさつメールの書き方」
- doda「【例文あり】退職挨拶メールやスピーチのマナー」
- エン転職「退職の挨拶(スピーチ、メール、手紙等)のポイントは?」
- e-Gov 法令検索「労働基準法」39条1項
- e-Gov 法令検索「民法」627条1項
あわせて読みたい
退職から転職までの進み方
伝えたあとに会社が受け取ってくれないときは、次の段階に条文と手順をまとめています。 会社が辞めさせてくれないときの記事を見る →

