退職代行利用後の在籍証明書・退職証明書の受け取り方
「退職代行で辞めたあとに、会社へ書類をお願いしても応じてもらえるのだろうか」と不安になる方は多いはずです。退職証明書は、請求すれば会社が遅滞なく交付する義務を負う書類です(労働基準法22条1項)。在籍証明書には同じ明文の義務がなく、会社の対応に任されるのが原則です。退職代行を使ったあとでも、どちらも請求できます。
この文章は一般的な情報の整理であり、特定のサービスを保証・推奨するものではありません。
在籍証明書と退職証明書は別の書類です
名前は似ていますが、役割も法律上の扱いも異なります。違いは次の表のとおりです。
| 項目 | 在籍証明書 | 退職証明書 |
|---|---|---|
| 何を示すか | その会社に在籍していた事実と期間 | 使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由のうち、請求した事項 |
| 法律上の発行義務 | 明文の定めは見当たらない | 労働者が請求すれば遅滞なく交付する義務がある |
| 主な使い道 | 転職先への提出、賃貸契約、ローン審査など | 国民健康保険や国民年金の手続き、転職先への提出など |
| 書式 | 会社ごとに異なる | 会社ごとに異なる(法定の様式はない) |
在籍証明書は、法律で発行が義務づけられているわけではありません。実務では多くの会社が応じています。断られても直ちに違法とは言えない書類です。
退職証明書は、労働基準法22条1項が根拠です。労働者が請求した事項だけを書く決まりで、請求していない事項を書くことは禁じられています(同条3項)。「退職の事由」を空欄にしたまま請求することもできます。
退職代行を使った場合の請求の流れ
請求の方法は、使った退職代行のタイプで変わります。
退職代行の運営元は3タイプ。弁護士は代理権を持ち、書類の請求や交渉まで対応できます。労働組合は団体交渉権を持ち、書類の扱いについて会社と話し合えます。民間企業は退職の意思を伝えるだけ。交渉は法律上できません。
民間企業型は、書類の請求をどこまで取り次ぐかが契約内容で変わります。運営元の違いの詳細は退職代行の運営元タイプ比較:弁護士・労働組合・民間。契約前に「在籍証明書や退職証明書の依頼を伝えてもらえるか」を確認してください。
自分で請求する場合の手順は、次の4つです。
- 退職日が過ぎていることを確認します。
- 会社の人事担当宛てに、メールか郵送で請求します。電話は使いません。記録を残すためです。
- 欲しい書類の名前、必要な項目、希望する受け取り方法(郵送が多いです)、送付先の住所を書きます。
- 返事がなければ、1週間ほど待って同じ文面で再度送ってください。
会社と直接やり取りするのが怖い場合は、代行業者に伝言を頼む方法もあります。ただし、民間企業型は伝達まで。会社が渋ったときの交渉は頼めません。
請求のメール文面の例
そのまま使える短い文面を挙げます。
件名:退職証明書の発行のお願い
人事ご担当者様 〇月〇日付で退職した〇〇(氏名)です。労働基準法22条1項に基づき、退職証明書の発行をお願いします。記載してほしい事項は、使用期間と業務の種類です。郵送で下記の住所へお送りください。〒000-0000 〇〇県〇〇市〇〇 〇〇(氏名)
在籍証明書も同じ形で頼めます。法律上の義務がない書類なので、「お願いします」の姿勢で書くと角が立ちません。理由は、使い道(転職先への提出など)を一言添えると、会社が対応しやすくなるからです。
請求できる期間と、書いてもらえない事項
退職証明書を請求できる期間は、退職の時から2年間です(労働基準法115条)。退職後すぐに必要でなくても、慌てる必要はありません。
書く事項は、請求した内容に限られます。たとえば、転職先に退職の理由を知られたくない場合は、「使用期間」と「業務の種類」だけを請求できます。解雇の場合に理由を書くかどうかも、労働者の請求に従います。
会社が他の人と共謀して、就業を妨げる目的で秘密の記号を書き込むことも禁じられています(同条4項)。
届かないときに順番に試すこと
請求しても届かない場合は、次の順で進めます。
- 同じ内容を、配達記録が残る方法(内容証明郵便など)で送ってください。手順は内容証明で退職届を送る手順|日本郵便の公式情報で確認と同じ。
- 労働基準監督署に相談します。退職証明書の不交付が、労働基準法違反にあたる場合があるからです。
- 弁護士や労働組合に相談します。書類の請求は交渉の一部として扱えるため、会社への働きかけを頼める場合があります。
在籍証明書は明文の義務がないため、労働基準監督署が動くとは限りません。この場合は、弁護士か労働組合への相談が現実的な手段です。判断に迷うときは、総合労働相談コーナーなどの公的窓口にも相談できます。
在籍証明書の代わりになる書類
どうしても在籍証明書が出ないときは、別の書類で代用できる場合があります。
- 退職証明書(在籍期間を示す事項を含められます)
- 源泉徴収票(前の会社の名前と支払期間が分かります)
- 雇用保険被保険者証や離職票(雇用保険の加入期間が分かります)
提出先がどの書類を認めるかは、提出先ごとに異なります。事前に転職先や契約先へ「在籍証明書の代わりに使える書類はありますか」と確認してください。源泉徴収票が届かないときは源泉徴収票が届かない時は?「退職の日以後1か月以内」の定めが役立ちます。
退職代行後に届く書類を一度に確認する
在籍証明書や退職証明書は、ほかの書類と一緒に請求すると手間が減ります。退職時に受け取る書類の全体像は退職時に受け取る書類の一覧|期限が定められているものは。離職票や保険、年金の順番は退職代行後の離職票・保険・年金の手続き順で確認できます。
書類を受け取ったあとに落ち着いて進めること
証明書が手元に届けば、手続きの大半は進めやすくなります。必要な手続きを書き出し、期限があるものから順に処理すれば、迷いません。転職活動を控えている方は、退職代行を使った後の転職活動の進め方も参考になります。
会社とのやり取りが負担に感じるときは、一人で抱え込まないでください。公的な窓口や専門家に預けられる部分は預けて構いません。
運営元のタイプごとに、できることの範囲は異なります。書類の請求まで頼みたい場合は、退職代行サービスの比較ページで、各サービスの料金と対応範囲を並べて見られます。
よくある質問
Q. 退職証明書と在籍証明書は両方もらえますか。
どちらも請求して問題ありません。退職証明書は労働基準法22条1項に基づく請求で、在籍証明書は会社の任意の対応です。同じメールで2通まとめて頼むと、会社も一度の作業で済みます。ただし在籍証明書は、会社が応じるとは限りません。
Q. 退職代行を使ったことは、証明書に書かれますか。
退職証明書には、請求した事項しか書けません。退職代行を使った事実は、使用期間や業務の種類などには当たらないため、通常は記載されません。「退職の事由」を請求しなければ、辞めた理由も書かれません。
Q. 会社が「本人から直接頼んでほしい」と言ってきたらどうすればよいですか。
民間企業型の退職代行では、会社との交渉ができないため、本人が請求する形になる場合があります。メールか郵送で請求すれば、電話で話さずに済みます。弁護士型や労働組合型であれば、代わりに請求できる場合があります。契約内容を確認してください。
Q. 退職してから2年以上たっていても請求できますか。
退職証明書の請求権は、退職の時から2年で消滅するのが原則。2年を過ぎた場合は、在籍証明書を任意で依頼するか、源泉徴収票など別の書類で代用できないかを提出先に相談してください。個別の判断は、労働基準監督署か弁護士に確認すると確実です。
退職後の給付金(失業給付)について
証明書や離職票の手続きと並んで、退職後は給付金の制度も気になるところです。失業給付(雇用保険の基本手当)の申請は、退職後にご本人がハローワークで行う手続きで、退職代行や第三者が代理申請することはできません。 受給の可否・金額・時期は、加入期間や離職理由などご自身の事情で異なります。当サイトは制度の概要や考え方を情報として紹介するにとどめ、申請の代行や受給の保証は行いません。 具体的な対象可否や手続きは、ハローワークなどの公的機関や、社会保険労務士をはじめとする専門家にご確認ください。「給付金で実質無料」「必ずもらえる」といった断定的な案内には十分ご注意ください。
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