会社都合かどうかは離職票のどこで分かるか:⑦欄・⑯欄・離職区分の読み方
「会社都合にしてもらった」という言い方をよく聞きます。ただ、会社都合かどうかを最後に決めるのは会社ではありません。判定するのはハローワークです。
そして、その判定の材料になるのが離職票です。どこを見れば分かるのか。様式に沿って確認します。
この記事は2026-09-06 時点の公表資料の整理です。離職理由の判定はハローワークが行います。実際の扱いは最寄りのハローワークにご確認ください。
見るのは「離職票-2」の右半分
離職票は一枚ではありません。-1と-2があります。離職理由が書かれているのは離職票-2です。実物の様式は 記入例:雇用保険被保険者離職票-2 で見られます。ハローワークインターネットサービスの資料です(様式第6号(2)(第7条関係)・2026-09-06 確認)。
右半分の⑦離職理由欄の冒頭に、次の注記があります。
⑦離職理由欄…離職者の方は、主たる離職理由が該当する理由を1つ選択し、左の離職者記入欄の□の中に○印を記入の上、下の具体的事情記載欄に具体的事情を記載してください。 【離職理由は所定給付日数・給付制限の有無に影響を与える場合があり、適正に記載してください。】
「離職者記入欄」があることを見落とせません。 ⑦欄は左端に「事業主記入欄」と「離職者記入欄」の2列が並んでおり、会社と本人が別々に丸を付ける構造になっています。会社が付けた丸に、本人が黙って従う様式ではありません。
大分類は6つ
⑦欄の理由は、次の6つに分かれています。
| 番号 | 大分類 |
|---|---|
| 1 | 事業所の倒産等によるもの |
| 2 | 定年によるもの |
| 3 | 労働契約期間満了等によるもの |
| 4 | 事業主からの働きかけによるもの |
| 5 | 労働者の判断によるもの |
| 6 | その他(1〜5のいずれにも該当しない場合) |
「会社都合」「自己都合」という欄はどこにもありません。 実務でその言葉に対応するのは、おおまかに 1・4 の側と 5 の側です。とくに確認したいのが次の2か所です。
- 4(3)希望退職の募集又は退職勧奨:さらに「① 事業の縮小又は一部休廃止に伴う人員整理を行うためのもの」「② その他(理由を具体的に)」に分かれる
- 3(3)早期退職優遇制度、選択定年制度等により離職
前から制度としてある早期退職優遇制度への応募は、4ではなく3の側に置かれています。この差が何を生むかは 希望退職に応じるかを決める前に にまとめました。
定年で辞める場合の「2 定年によるもの」も、単に丸を付けて終わりではありません。定年後の継続雇用を「希望していた」か「希望していなかった」かを選ぶ形になっており、希望していた場合はさらに a・b・c から理由を1つ選びます。定年と継続雇用の制度そのものは 定年は何歳か、会社はどこまで雇い続ける義務があるか にまとめました。
右端の記号が「離職区分」
⑦欄の右端に、1A・1B・2A・2B・2C・2D・2E・3A・3B・3C・3D・4D・5Eといった記号の列があります。これが離職区分です。記入例では 4D に印が付いています。
様式上、この欄は事業主の記入欄でも離職者の記入欄でもありません。公共職業安定所(ハローワーク)が使う欄として置かれています。会社が丸を付けた⑦の理由がそのまま確定するのではなく、ハローワークの判定を経る、ということです。自分の区分がどう扱われたかを知りたい場合は、ハローワークの窓口で確認してください(受給の手続きで交付される書類に記載される場合もありますが、様式そのものにその旨の定めはありません)。
⑯欄:異議の有無を本人が書く
様式の下部に、次の2つの欄があります。
- 具体的事情記載欄(事業主用):記入例では「自己都合による退職」
- 具体的事情記載欄(離職者用):「事業主が記載した内容に異議がない場合は「同上」と記載してください。」
そして⑯欄です。
⑯離職者本人の判断(○で囲むこと) 事業主が○を付けた離職理由に異議 有り・無し
「異議 有り」に丸を付ける欄が、様式にあらかじめ用意されています。 会社の記載に納得できないときに、ここで意思表示ができます。異議がある場合は、離職者用の記載欄に「同上」とは書きません。自分の事情を書くことになります。
なお、離職票の元になる離職証明書には、離職前に本人が氏名を記載することになっています。出典はハローワークの雇用保険の具体的な手続きです。2026-09-06 に確認しました。
できれば在職中に「雇用保険被保険者証」の有無を確認してください。また、会社がハローワークに提出する「離職証明書」については、離職前に本人が氏名の記載をすることになっていますので、離職理由等の記載内容についても確認してください。
では、最初の確認の機会はいつか。署名を求められた時点です。
記載が実態と違うとき
同じページに、相談先がはっきり書かれています。
なお、離職理由に異議がある場合(実際は、事業主からの退職勧奨であるにも関わらず、自己都合退職とされている場合など)は、ハローワークにご相談ください。 ハローワークにおいて、事実関係を調査のうえ、離職理由を判定します。
例として挙げられているのは、まさに退職勧奨を自己都合とされたケースにほかなりません。判定はハローワークが事実関係を調査して行います。持って行くと役に立つのは、面談の日時のメモ、募集の案内文、やり取りの記録です。退職勧奨そのものの扱いは 退職勧奨は断れるか にまとめました。
給付制限の長さは「幅」で定められている
離職理由が影響するもうひとつが給付制限です。雇用保険法(2026-09-06 確認)第33条1項は、次のように定めています。
被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合には、第二十一条の規定による期間の満了後一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。ただし、次に掲げる受給資格者(中略)については、この限りでない。 一 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける受給資格者(次号に該当する者を除く。) 二 第六十条の二第一項に規定する教育訓練その他の厚生労働省令で定める訓練を基準日前一年以内に受けたことがある受給資格者(正当な理由がなく自己の都合によつて退職した者に限る。次号において同じ。) 三 前号に規定する訓練を基準日以後に受ける受給資格者(同号に該当する者を除く。)
条文は「一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間」という幅で書かれています。 固定の月数ではありません。
そしてただし書きの二号・三号を見落とさないことです。除かれるのは公共職業訓練を受ける人(一号)だけではありません。教育訓練給付の対象になる教育訓練などを、離職前1年以内に受けたことがある自己都合退職者(二号)、基準日以後に受ける人(三号)も、給付制限の対象から外れます。自己都合で辞める人にいちばん効くのは、この二号です。
日数の比較は 自己都合と会社都合で失業給付はどれだけ変わるか にまとめています。
離職票は4年間保管する
様式の下部にある注意書きの3にも、見落としやすい定めがあります。
- 基本手当、高年齢求職者給付金又は特例一時金の支給を受けないときでも、後日必要となる場合があるから、少なくとも4年間は大切に保存すること。
受給しない場合でも4年間です。次の離職のときに算定基礎期間の確認で必要になることがあります。
様式のどこを見るか
- 離職理由が書かれているのは離職票-2。⑦欄は事業主記入欄と離職者記入欄の2列
- 大分類は6つ。「会社都合」「自己都合」という欄は様式に存在しない
- 4(3)希望退職の募集又は退職勧奨と3(3)早期退職優遇制度は別の欄
- 右端の離職区分(1A〜5Eなどの記号)はハローワークが使う欄。会社の記載がそのまま確定するわけではない
- ⑯欄で「異議 有り」に丸を付けられる。離職者用の具体的事情記載欄に自分の事情を書く
- 記載が実態と違うときの相談先はハローワーク。事実関係を調査して判定される
- 給付制限は条文上「一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間」。教育訓練を離職前1年以内に受けた自己都合退職者は除外(33条1項ただし書き二号)
- 受給しなくても4年間は保存する
会社に交渉する前に、まず様式を見ておくところです。丸を付ける欄が、こちらにも用意されています。
出典(すべて 2026-09-06 に確認)
- ハローワークインターネットサービス「記入例:雇用保険被保険者離職票-2」(様式第6号(2)(第7条関係))
- ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
- e-Gov 法令検索「雇用保険法」第33条第1項
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