在職中に転職先を決めてから辞める段取り
「収入を切らしたくないから、次を決めてから辞めたい」。在職中の転職活動を選ぶ方の多くが、この考えから出発します。ただ実際に始めると、面接の日程が取れない・内定の返事を待たせられない・退職日をいつにすればいいか分からない といった、順番の問題にぶつかります。
結論から言うと、この進め方の要点は 「内定から逆算して退職日を決める」 ことです。転職活動と退職手続きを別々に考えると、どちらかが必ず詰まります。この記事では、在職中に転職先を決めてから辞めるまでの段取りを時系列で整理し、最後に「自分では退職を言い出せない場合」の扱いにも触れます。
この記事は一般的な進め方の目安であり、断定するものではありません。退職の申し出に必要な期間や手続きは、就業規則や雇用契約の内容によって異なります。実際の取り扱いは、お手元の就業規則・雇用契約書をご確認ください。
全体の段取り
在職中に次を決めてから辞める場合、おおまかには次の順で進みます。
| フェーズ | やること | 在職中ならではの注意 |
|---|---|---|
| ① 準備 | 職務経歴書の作成、条件の整理 | 業務時間外に進める。会社の設備は使わない |
| ② 応募・書類選考 | 求人探し、応募 | 同時に進める社数は面接調整の余力で決める |
| ③ 面接 | 日程調整、複数回の面接 | 有給・時間単位休暇・平日夜や土日の枠を活用 |
| ④ 内定・条件確認 | 労働条件通知書の内容確認 | 入社日は「退職日の見通し」を持ってから答える |
| ⑤ 退職の申し出 | 上司へ伝える、退職日を決める | 内定承諾と同時期。就業規則の申し出期限を確認 |
| ⑥ 引き継ぎ・有給消化 | 引き継ぎ、残った有給の消化 | 退職日と入社日の間に無理のない間隔を置く |
| ⑦ 退職・入社 | 書類の受け取り、入社 | 離職票などは退職後に届く |
この順番で効いてくるのが④と⑤の重なり です。ここを分けて考えると、「入社日は約束したのに退職日が決まらない」という板挟みになります。
③ 面接の時間をどう作るか
在職中の転職活動でいちばん詰まりやすいのが、面接の時間です。現実的な選び方としては、次のような手があります。
- 有給休暇を使う:まとまった時間が取れる。取得理由を細かく説明する義務は一般にありません
- 時間単位年休・半休:制度がある会社なら、1日使わずに済みます
- 平日夜・土日の枠:応募先によっては対応可能な場合があります
- オンライン面接:移動時間が要らないため、昼休みや業務後に収まることがあります
注意したいのは、同時に進める社数を欲張らないこと です。書類が通り始めると面接が重なり、在職中の可処分時間では調整しきれなくなります。「今の自分が月に何回、面接の時間を作れるか」から逆算して応募数を決めるほうが、選考を落とさずに進められます。
在職中と退職後のどちらで進めるか自体を迷っている場合は 在職中と退職後、転職活動はどちらで進める? を先にご覧ください。
④⑤ 内定から逆算して退職日を決める
ここが段取りの中心です。内定を受けた時点で入社日を即答せず、まず自分の退職に必要な期間を確認します。
確認するのは次の3点です。
- 就業規則の申し出期限:「退職の◯日前までに申し出る」と定められていることが一般的です。まずここを読みます
- 引き継ぎに必要な実日数:担当業務・後任の有無で変わります。楽観的に見積もらないほうが安全です
- 残っている有給休暇の日数:消化するなら、その日数ぶん退職日が後ろに寄ります
そのうえで、入社日は「退職日+数日以上」の余裕を持って答える のが無難です。退職日ぎりぎりに入社日を置くと、引き継ぎが延びたときに調整先がなくなります。
複数の内定を比べる軸や、承諾・保留の伝え方の考え方そのものは、新卒就活と共通する部分があります。就活サイト「早慶合同就活会議」の内定後にやるべきこと・内定承諾の判断基準も、比較の観点を整理する材料になります。
なお、期間の定めのない雇用契約の解約については、民法に 申し入れから2週間の経過で終了する という定めがあります。一方で就業規則に「1か月前まで」などと書かれていることも多く、どちらが優先されるかは事案によって判断が分かれるため、ここで一律に断定はできません。 実務上は就業規則に沿って申し出るのが円満に進みやすく、争いが見込まれる場合は専門家に相談するのが確実です。
有給消化を退職日に組み込む
残った有給を消化して辞めたい場合、退職日を有給消化の分だけ後ろに設定する 形になります。ここは会社との調整が必要になりやすい部分で、人手が足りない職場ほどもめやすくなります。扱いの詳細は 退職代行で有給消化はできる? で整理しています。
ボーナスの支給日が近い場合は、退職日をその前後どちらに置くかで受け取りの扱いが変わることがあります。考え方は ボーナス支給日前後のタイミング をご覧ください。
⑥ 引き継ぎはどこまでやるか
在職中の転職では、引き継ぎと入社準備が同じ時期に重なります。すべてを完璧に引き継ごうとすると、入社日が押されます。
現実的な線引きとしては、次のような優先順位になります。
- 担当している案件・顧客の一覧と、現在の状況
- 自分しか知らない手順・パスワードの所在(管理方法に沿って引き渡す)
- 期限が決まっているタスクと、その期限
- 後任が決まっていない場合は、誰に何を渡したかの記録
後任の採用や育成は会社側の責任 であり、退職する本人が引き受ける範囲ではありません。どこまでが最低限かの整理は 退職代行を使うときの引き継ぎは最低限どこまで にまとめています。
「内定は出たが、退職を言い出せない」場合
在職中に次を決める進め方は理屈は通っていますが、⑤の「上司へ伝える」で止まる人が一定数います。 引き止めが強い職場、上司との関係が悪化している場合などです。
この場合、退職の意思の伝達を第三者に任せる選択肢があります。ここで注意したいのは、運営元タイプによってできる範囲が違う ことです。
| 内定後に必要になりやすいこと | 民間企業 | 労働組合 | 弁護士 |
|---|---|---|---|
| 退職の意思を会社へ伝える | できる | できる | できる |
| 退職日の調整(交渉) | できない | できる | できる |
| 有給消化の交渉 | できない | できる | できる |
| 未払い分の請求・法的紛争への対応 | できない | 請求の交渉はできる | 請求・訴訟まで対応できる |
入社日が決まっているケースでは「退職日をいつにするか」の調整が要になるため、伝達だけでは足りない場面が出てきます。 交渉が絡むなら労働組合タイプか弁護士タイプが対象になります。3タイプの違いは 運営元タイプの違い で詳しく整理しています。
転職エージェントを使いながら退職代行も検討する場合の進め方は 転職エージェントと退職代行は併用できる? をご覧ください。
まとめ:退職日から逆算すれば詰まらない
在職中に転職先を決めてから辞める段取りの要点は、次のとおりです。
- 面接の時間の作り方から応募数を決める。書類が通り始めてから調整に詰まるのを避ける
- 内定を受けたら入社日を即答せず、就業規則の申し出期限・引き継ぎ日数・有給日数を先に確認する
- 入社日は退職日に数日以上の余裕を足して答える。引き継ぎが延びたときの逃げ場を残す
- 引き継ぎは最低限の範囲でよい。後任の採用・育成は会社側の責任
- 退職を言い出せない場合、退職日の調整が必要なら「交渉できるタイプ」が対象になる
順番を先に押さえておけば、収入を切らさずに次へ移ることは十分に現実的です。手段を比べる段階に来たら サービス比較一覧 からどうぞ。
よくある質問
Q. 内定先に「退職日がまだ決まっていない」と伝えても大丈夫ですか?
一般的には、在職中の応募であることは応募先も前提にしています。「就業規則を確認のうえ、◯日までに入社日をご連絡します」と期限を添えて伝えるほうが、曖昧に引き延ばすより印象がよくなりやすいです。無理な入社日を約束してしまうより、確認の時間をもらうほうが安全です。
Q. 在職中の転職活動は、今の会社にバレませんか?
必ずバレる/絶対にバレない、と一律に言うことはできません。会社の設備やアカウントを使わない、就業時間中に活動しないといった基本を守ることでリスクは下げられます。業界が狭い場合は、応募先経由で間接的に伝わる可能性が完全にゼロとは言い切れないため、過度に楽観しないほうが落ち着いて進められます。
Q. 退職の申し出は、内定承諾の前と後どちらがよいですか?
一般的には内定と条件を確認したあとに申し出る順が安全とされています。承諾前に退職を申し出ると、条件が合わずに内定を辞退した場合に戻る場所がなくなります。ただし就業規則の申し出期限が長い会社では、入社日との兼ね合いで並行して動く必要が出ることもあります。
Q. 転職先が決まっていれば失業給付は関係ありませんか?
在職中に次が決まり、間を空けずに入社する場合は、失業給付(基本手当)の対象となる「失業の状態」に該当しないのが一般的です。ただし入社までに期間が空く場合など、状況によって扱いは変わります。ご自身のケースでの取り扱いはハローワークでご確認ください。
退職後の給付金(失業給付)について
在職中の転職活動でも「給付金がもらえるか」を気にする方がいますが、注意が必要です。失業給付(雇用保険の基本手当)の申請は、退職後にご本人がハローワークで行う手続きで、退職代行や第三者が代理申請することはできません。 受給の可否・金額・時期は、加入期間や離職理由などご自身の状況によって異なります。
当サイトは制度の概要や考え方を情報として紹介するにとどめ、申請の代行や受給の保証は行いません。 具体的な対象可否や手続きは、ハローワークなどの公的機関や、社会保険労務士をはじめとする専門家にご確認ください。「給付金で実質無料」「必ずもらえる」といった断定的な案内には十分ご注意ください。
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