外国人労働者が退職代行を利用する場合の注意点
「日本語に自信がなくて、辞めたいと言い出せない。辞めたら在留資格はどうなるのだろう」と悩んでいる方は多いはずです。退職代行は、外国籍の方でも原則として利用できます。ただし在留資格の種類によって、辞めた後に必要な動きが変わります。その点を先に知っておくと、焦りがかなり軽くなります。
この記事は一般的な情報の整理です。特定のサービスを保証したり、推奨したりするものではありません。
在留資格の種類で、退職後の動き方が変わります
外国人労働者の在留資格は、大きく2つに分かれます。仕事の内容が資格ごとに決まっている「就労系」と、仕事の制限が少ない「身分系」です。
| 区分 | 主な在留資格 | 退職後に気にすること |
|---|---|---|
| 就労系 | 技術・人文知識・国際業務など | 次の仕事が資格の範囲に収まるか |
| 就労系 | 特定技能 | 同じ分野で転職できるか |
| 就労系 | 技能実習 | 転籍の条件がどうなっているか |
| 身分系 | 永住者、日本人の配偶者等、定住者など | 仕事の制限は原則ありません |
技能実習は、転籍できる場合が限られてきた制度です。現在は制度の見直しが進んでいる最中です。ご自身の場合にどうなるかは、外国人技能実習機構や監理団体などの窓口で最新の情報を確認してください。
退職の仕組みは、日本人と同じです
退職の意思表示のルールに、国籍の違いはありません。期間の定めがない雇用なら、原則として申し出から2週間で契約が終わります。数え方の詳細は退職を申し出てから何日で辞められるかにまとめています。
契約期間が決まっている場合は話が変わります。契約社員や技能実習のような有期の契約は、原則として途中で辞めにくい仕組みです。ただし、やむを得ない事情があれば途中でも辞められます。詳しくは契約社員の退職代行を読んでみてください。
派遣で働いている方は、派遣元と派遣先のどちらに伝えるかで迷いがちです。派遣社員の退職代行で整理しています。
辞めたあとに必要な3つの手続き
在留資格を持つ方は、退職後に自分で行う手続きがあります。主な手続きは次の3つです。
- 出入国在留管理庁への届出
- 在留期間と、次の仕事の条件の確認
- 健康保険と年金の切り替え
1つ目の届出は、中長期在留者が所属先を離れたときの手続きです。原則として、離れた日から14日以内に届け出ます。インターネットでも郵送でもできるため、退職日をメモしておくと安心です。
2つ目は、在留期間の残りの確認です。在留カードの裏面や表面で、期限を見ておきます。
3つ目は日本人の退職者と同じ手続きです。流れは退職代行後の離職票・保険・年金の手続き順で確認できます。
次の仕事が決まらない期間が長いと、在留資格に影響が出ることがあります
就労系の在留資格には、傾向として注意したい点があります。在留資格に応じた活動を3か月以上続けて行わないと、在留資格の取消しの対象になる場合があります。正当な理由があるときは扱いが異なります。
この判断は個別の事情で変わります。退職してすぐに仕事が見つからない場合は、早めに出入国在留管理庁の相談窓口や、行政書士、弁護士に確認してください。
寮や社宅に住んでいるときは、退去の手続きが先です
住まいが会社の寮や借り上げの社宅になっている方は、仕事の問題より先に住まいの問題が来ます。次の3点を、退職を決める前に確認します。
- 契約書に、退去の期限が書かれているか
- 家賃や光熱費の精算がどうなっているか
- 荷物を運び出す日の目途が立つか
寮の退去が絡む場合は、対応できる範囲がサービスによって違います。申し込む前に、寮の話を相談できるか聞いておくと安心です。
運営元のタイプで、できることが違います
退職代行は、運営元のタイプで法律上できることが決まっています。
| タイプ | できること |
|---|---|
| 弁護士系 | 退職の連絡に加えて、未払い賃金の請求や損害賠償への対応まで任せられる |
| 労働組合系 | 団体交渉権により、退職日や有給消化、未払い分の請求を会社と話し合える |
| 民間企業系 | 退職の意思を伝えるだけで、会社との交渉は法律上できない |
未払いの給与や残業代がある方は、交渉ができるタイプを選ぶ必要があります。違いの全体像は退職代行の運営元タイプ比較で説明しています。
外国人労働者の場合は、対応している言語も確認します。メールやメッセージでのやり取りが日本語だけだと、内容を読み違えるおそれがあります。契約前に、母語や英語など自分が使える言語で対応してもらえるかを聞いてください。
会社に残る書類は、早めに受け取り方を決めます
退職後は、離職票や源泉徴収票など、会社から届く書類があります。離職票は、失業給付の手続きでも使います。届かないときの動き方は退職代行でも離職票はもらえるかに書いています。
在留カードやパスポートを、会社が預かっているケースもあります。これらは本来ご本人のものです。預けたままの場合は、返却を求める連絡を退職の連絡と一緒にしておきます。返してもらえないときは、弁護士や労働基準監督署などの公的な窓口に相談してください。
相談先を先に知っておくと、動きやすくなります
- 在留資格のこと:出入国在留管理庁の相談窓口、行政書士
- 賃金や契約のこと:労働基準監督署、弁護士
- 仕事探しのこと:ハローワークの外国人向けの窓口
- 技能実習のこと:外国人技能実習機構
窓口の名称や対応言語は変わることがあります。利用する前に、公式サイトで最新の案内を確認してください。
辞めたい気持ちは、制度の上でも受け止められています
外国籍だからという理由で、辞める自由が小さくなることはありません。違うのは、辞めたあとの届出と、次の仕事の条件が加わる点です。この2つを押さえておけば、退職代行を使う場合でも落ち着いて動けます。
まず、在留資格の種類と在留期限を確かめてください。その次に、退職日と届出の期限をカレンダーに書き込みます。
運営元のタイプや対応言語を比べたいときは、退職代行サービスの比較ページも参考にしてください。
よくある質問
Q. 退職代行を使うと、在留資格が取り消されることはありますか
退職代行を使ったこと自体が、取消しの理由になるとは考えにくいです。見られるのは、退職後に在留資格に応じた活動を続けているかどうかです。ご自身の場合の判断は、出入国在留管理庁の窓口や行政書士に確認してください。
Q. 母国の家族に連絡が行くことはありますか
会社が緊急連絡先に電話をするケースは、あり得ます。退職代行を使う場合は、会社への連絡を代行側に任せ、本人や家族には連絡しないよう伝えてもらうことが多いです。ただし会社が従うかどうかは別です。連絡先の登録内容を、事前に確認しておくと備えになります。
Q. 日本語がほとんど話せなくても、契約できますか
対応言語はサービスごとに異なります。母語や英語で相談できるサービスもあれば、日本語のみのサービスもあります。契約書や料金の説明が理解できないまま申し込まないよう、読める言語で説明を受けてください。
Q. 帰国する予定がある場合も、退職代行を使えますか
使えます。帰国の日から逆算して、退職日と最終出社日、寮の退去日を決めておくと進めやすくなります。未払いの給与や有給休暇がある場合は、帰国前に会社と調整が必要です。交渉ができる運営元かどうかを、先に確認してください。
退職後の給付金(失業給付)について
外国人労働者の方も、雇用保険に加入していた場合は、退職後の給付を調べる場面があります。失業給付(雇用保険の基本手当)の申請は、退職後にご本人がハローワークで行う手続きで、退職代行や第三者が代理申請することはできません。 受給の可否・金額・時期は、加入期間や離職理由などご自身の状況によって異なります。当サイトは制度の概要や考え方を情報として紹介するにとどめ、申請の代行や受給の保証は行いません。 具体的な対象可否や手続きは、ハローワークなどの公的機関や、社会保険労務士をはじめとする専門家にご確認ください。「給付金で実質無料」「必ずもらえる」といった断定的な案内には十分ご注意ください。
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