退職エラビ
給付金ガイド

自己都合と会社都合で失業手当はどう変わる?受給条件を比較

退職を考えるとき、「辞めたあとの生活費はどうなるのか」は誰しも気になるところです。その支えのひとつが、雇用保険の 失業給付(基本手当)(「失業手当」「失業保険」とも呼ばれます)ですが、「いくらもらえるのか」「自分は対象になるのか」は加入期間や辞め方によって変わるため、ひとことで言い切れるものではありません。

この記事では、失業給付の 基本的な受給条件 と、自己都合退職と会社都合退職で扱いが変わる傾向 を、2026年時点の一般的な制度概要として中立的に整理します。あわせて、失業給付の申請は退職代行が代行できず、退職後にご本人がハローワークで行う手続きである という線引きも明確にします。

以下で触れる被保険者期間・給付日数・給付制限期間などの数値は、いずれも2026年時点の一般的な制度概要にもとづく「目安」です。制度は改正されることがあり、実際の受給可否・金額・時期はご自身の状況によって異なります。最新かつ個別の取り扱いは、必ずお住まいの地域を管轄するハローワークでご確認ください。

失業給付(基本手当)とは

失業給付(基本手当)は、雇用保険の被保険者だった人が離職し、働く意思と能力があるのに就職できない状態にあるときに、再就職までの生活を支えるために支給されるものとされています。あくまで「次の仕事を探している人」への給付であり、退職したら自動的に振り込まれるお金ではない点がまず大切です。すでに次の就職先が決まっている場合や、病気・けが・妊娠などですぐに働ける状態にない場合は、原則として基本手当の対象にはならない(別の制度の対象になりうる)と一般に説明されています。ここも個別判断になりますので、迷う場合はハローワークへの確認が確実です。

受給の基本的な条件(一般論)

一般に、基本手当を受け取るには、おおむね次のような条件を満たすことが目安とされています。いずれも一般論であり、具体的な該当可否は個別の判断になります。

  • 雇用保険に加入していたこと:離職前の一定期間、雇用保険の被保険者であったこと
  • 被保険者期間が一定以上あること:原則として離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上、倒産・解雇など会社都合(特定受給資格者)や雇止めなど特定理由離職者に該当する場合は離職日以前1年間に通算6か月以上が必要とされています(ハローワークインターネットサービス「基本手当について」、2026年7月確認)
  • 働く意思と能力があること:心身ともに就労できる状態であること
  • 求職活動をしていること:ハローワークで求職の申込みを行い、積極的に仕事を探していること

つまり「雇用保険に入っていた」「すぐ働ける」「仕事を探している」の3つがそろっていることが、おおまかな前提です。被保険者期間の数え方(賃金支払の基礎となった日数・時間数による算定など)には細かいルールがあるため、自分がどちらの要件に当てはまるかは、自分のケースに当てはめてハローワークで確認するほうが確実です。

自己都合と会社都合で変わる傾向

失業給付の扱いは、離職理由が 自己都合会社都合 かで変わる傾向があります。会社都合に近い人は「特定受給資格者」、倒産・解雇以外の正当な理由による離職などは「特定理由離職者」として整理されることがあり、一般的な傾向として次のような違いがあるとされています。

観点 自己都合退職(一般) 会社都合退職など(特定受給資格者等)
待期期間 7日間(離職理由を問わず共通) 7日間(離職理由を問わず共通)
給付制限(待期後の支給開始の遅れ) 原則1か月(2025年4月1日以降に離職した場合。過去5年以内に2回以上正当な理由のない自己都合退職をした場合や重責解雇の場合は原則3か月) 給付制限なし
所定給付日数の目安 90日〜150日程度(被保険者期間に応じ、年齢による違いはなし) 90日〜330日(年齢・被保険者期間により変動)
必要な被保険者期間の目安 離職日以前2年間に通算12か月以上 離職日以前1年間に通算6か月以上

ポイントは、会社都合に近い扱いのほうが、支給開始が早く・給付日数も手厚くなりやすいことです。ただし実際にどちらの扱いになるか(離職理由の判定)はハローワークが個別に判断します。上記の日数・期間は2026年7月確認時点の一般的な制度内容で、年齢・被保険者期間・改正状況によって個別に当てはまる日数は変わるため、断定はできません。給付制限期間は2025年4月の制度改正で短縮されたもので、正確な所定給付日数はハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」、給付制限の詳細は厚生労働省の案内でご確認ください(いずれも2026年7月確認)。

2025年4月の制度改正について。 2025年4月1日以降に離職した場合、正当な理由のない自己都合退職の給付制限期間は、それまでの原則2か月から原則1か月に短縮されました。あわせて、離職前に厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講していた場合は、給付制限そのものが解除される仕組みも始まっています(厚生労働省の案内、2026年7月確認)。ご自身が対象になるかは、離職前の状況を含めてハローワークで確認するのが確実です。

申請の大まかな流れ

失業給付の手続きは、退職後にご本人がハローワークで進めるのが基本です。一般的な流れの目安は次のとおりです。

  1. 離職票を受け取る:退職後、会社から「離職票」が発行されます。届く時期には差があるため、遅い場合は会社や前職の担当に確認します(離職票がなかなか届かないときの対処法も参考にしてください)
  2. ハローワークで求職申込み・受給資格の決定:離職票や本人確認書類などを持参して求職の申込みを行い、受給資格の有無を確認してもらいます
  3. 雇用保険受給説明会への参加:制度の説明を受け、今後の流れや認定日の案内を受けます(運用は地域により異なります)
  4. 失業の認定:指定された認定日にハローワークへ行き、求職活動の状況を申告して「失業の状態にある」と認定を受けます
  5. 基本手当の支給:認定にもとづき後日、指定口座へ支給されます(自己都合の場合は給付制限期間を経てから支給が始まる傾向があります)

細部は地域や個別状況によって異なります。必要書類や認定日のルールは、受給資格を申請するハローワークの案内が正となるため、最初の窓口相談で確認しておくと安心です。

退職代行との関係(ここが大切)

退職代行を検討している人が誤解しやすいのが、給付金まわりです。結論として、退職代行は失業給付の申請を代理ですることはできません。 失業給付の申請は、退職後に ご本人がハローワークで行う公的な手続き だからです。

退職代行が担うのは、「退職の意思を会社へ伝える」ことや、運営元タイプによっては退職日・有給などの「交渉」までです(できることの範囲は運営元によって異なります。詳しくは 運営元タイプの違い をご覧ください)。失業給付の受給可否・金額・時期は、退職代行を使ったかどうかとは関係なく、ご自身の加入期間や離職理由などによって決まります。

そのため、「退職代行を使えば給付金がもらえる」「給付金で実質無料」といった案内を見かけても、鵜呑みにしないことが大切です。 受給はご本人とハローワークの間で決まるもので、退職代行が保証できる性質のものではありません。料金やサービスを比べる際は、給付金を当てにしすぎず、対応範囲と費用そのもので判断するのが安全です(料金相場と選び方 も参考になります)。

まとめ

失業給付(基本手当)は再就職を目指す人の生活を支える制度ですが、受給できるか・いくら・いつから受け取れるかは、加入期間や離職理由などご自身の状況によって変わります。 要点を整理すると次のとおりです。

  • 基本の前提は「雇用保険に入っていた」「すぐ働ける」「仕事を探している」の3つ(数値の目安は要確認)
  • 自己都合より会社都合に近い扱いのほうが、支給開始が早く給付日数も手厚くなりやすい傾向(判定はハローワーク)
  • 申請は退職後にご本人がハローワークで(離職票の受け取り→求職申込み→説明会→認定が目安)。退職代行に代理申請はできない

具体的な数値や自分のケースの取り扱いは、本記事の一般論ではなく ハローワークや社会保険労務士などの専門家に確認するのが確実です。各サービスの対応範囲は サービス比較一覧 も参考にしてください。

自分で退職を届け出るための書面が必要なら、退職届テンプレート で必要事項を入力するだけで、印刷してそのまま提出できる退職届を作成できます。

よくある質問

Q. 自己都合と会社都合、どちらが早く・多くもらえますか?

一般的に、会社都合(特定受給資格者等)のほうが給付制限がなく、所定給付日数も手厚くなりやすい傾向があります。ただし、実際にどちらの扱いになるかは離職理由の実態にもとづいてハローワークが個別に判定するものです。ご自身の離職理由がどちらに該当するかは、離職票の記載内容とあわせてハローワークで確認してください。

Q. 2025年4月の制度改正で何が変わりましたか?

2025年4月1日以降に離職した場合、正当な理由のない自己都合退職の給付制限期間は、それまでの原則2か月から原則1か月に短縮されました。過去5年以内に2回以上正当な理由のない自己都合退職をした場合や、重責解雇の場合は、引き続き原則3か月の給付制限が適用されます(厚生労働省の案内、2026年7月確認)。

Q. 自己都合か会社都合かは、誰がどうやって決めるのですか?

会社が発行する離職票に記載された離職理由をもとに、必要に応じて本人への聞き取りも行ったうえで、ハローワークが判定します。会社側の記載と実際の状況が異なると感じる場合は、ハローワークでの手続き時にその旨を申し出ることができます。

Q. 退職代行を使うと、会社都合の扱いにしてもらえますか?

できません。離職理由は実際の退職の経緯にもとづいてハローワークが判定するものであり、退職代行を使ったこと自体が離職理由の分類に影響することはありません。「退職代行を使えば会社都合になる」「給付金が増える」といった案内は誤りです。

Q. 給付制限期間中は、何もできませんか?

求職の申込みや、失業の認定に向けた求職活動は給付制限期間中も進められます。また、離職前に厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講していた場合は給付制限が解除される場合があるため、該当しそうな場合はハローワークで確認することをおすすめします。

退職後の給付金(失業給付)について

退職代行のなかには「給付金サポート」をうたうものもありますが、注意が必要です。失業給付(雇用保険の基本手当)の申請は、退職後にご本人がハローワークで行う手続きで、退職代行が代理申請することはできません。 受給の可否・金額・時期は、加入期間や離職理由などご自身の状況によって異なります。

当サイトは制度の概要や考え方を情報として紹介するにとどめ、申請の代行や受給の保証は行いません。 本記事の数値はあくまで一般的な目安であり、最新の制度内容や個別の取り扱いは改正等で変わることがあります。具体的な対象可否や手続きは、ハローワークなどの公的機関や、社会保険労務士をはじめとする専門家にご確認ください。「必ずもらえる」「実質無料」「退職代行で給付金がもらえる」といった断定的な案内には、十分ご注意ください。

あわせて読みたい